養命酒のPRを担うキャラクター、(左から)ビンくんとハコさん

 『薬用養命酒』といえば、伝統ある医薬品であり、その名のとおり年配の人が滋養強壮のために飲むもの、というのが一般的なイメージではないだろうか。だが、そんな養命酒に、ここ数年で異変が起こっている。ツイッターには、着ぐるみ風のおかしなキャラクター“ビンくん”が登場。さらに毎年行っているプレゼントキャンペーンでは、『ゴルゴ13』とコラボして“養命酒アタッシュケース”を制作するなど、なぜか攻めている。養命酒は、一体どこに向かっているのか? 最新の『AI養命酒』キャンペーンでも活躍中の“ビンくん”と、養命酒製造株式会社のマーケティング担当者を直撃した。

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■マーケティング部所属の「ビンくん」と「ハコさん」、いつからいるかはわからない

 『薬用養命酒』は、14種類もの自然の生薬を原料に作られている、滋養強壮に優れた医薬品。1600年頃に創製されたという。この伝統的なロングセラー商品を販売しているのが、養命酒製造株式会社。同社の会議室で待つ我々取材班のもとに現れたのは、「養命酒の瓶」さん、「養命酒の箱」さん両名だ。

 養命酒そのままの姿で商品の普及に務める、マーケティング部所属「養命酒の瓶」、通称“ビンくん”が颯爽と同社のツイッターに登場したのは、今年の5月。

 「ビンくんとハコさんは、気がついたらマーケティング部の社員として働いていました。いつからなのか、僕らもよくわからないんですけど(笑)。ビンくんはとても活発で、社内ではイジられキャラ。ハコさんは、無口でジェントルなタイプです」(マーケティング部専門課長 鳥山敦志さん)

■「健康のための養命酒なのに、殺し屋とコラボなんかしていいのかっ!?」

 生真面目かつ、おカタイ会社かと思いきや、意外とユルい。ここ数年、話題になっているキャンペーン商品は、このような穏やかで自由な社風から生まれたのだと推測できる。開発に携わっているという、ビンくんにも話を聞いてみた。

 「キャンペーンの開始は2013年からです。養命酒抱き枕や、『ゴルゴ13』とコラボしたアタッシュケースから始まり、『コップのフチ子さん』コラボ、ジャンボ抱き枕など、いろんなアイテムを作ってきました。『ゴルゴ13』のときは、『健康のための養命酒なのに、殺し屋とコラボなんかしていいのかっ!?』と、お客様からお叱りを受けてしまうかも…という不安があったんです。でも、勇気を出してやってみたら、『面白い!』といった好意的な声ばかりで、ホッとしました~。ちなみに、今までで一番、応募数が多かったのは、『Yomeishuモバイルバッテリー』の23万件ですね! 2年前の『ポケモンGO』が流行った時期で、モバイルを酷使する人が多かったせいでしょうか~? 体の疲れは養命酒でチャージして、スマホの疲れはバッテリーで! という意図で開発したんですよ」(ビンくん)

 毎回話題になるキャンペーンだが、単に面白い物を作ろうというわけではなく、ベースには医薬品としての養命酒の効能を伝えるという、しっかりとしたコンセプトがある。

 「抱き枕のときも、ただ養命酒を大きくして面白くしたのではなくて、養命酒には冷え症を改善する効能がある→冷えがなければよく眠れる=抱き枕という発想なんです。話題性とともに養命酒本来の効能を知ってもらうために、どんなキャンペーン商品を開発したらいいのか? マーケティング部一同、日々一生懸命考えているんですよ~」(ビンくん)

■新規の若年層売上が前年比120%、キャンペーンが購買層拡大のきっかけに

 若年層を意識したキャンペーンも、ついに20回目。今回制作したのが、まさかの『AI養命酒』だ(9月30日まで)。キャンペーンでは、養命酒型スマートスピーカー『AI養命酒』、その開発途中で生まれたオウム返ししかできないロボ『AI養命酒初号機』を抽選でプレゼントするほか、ツイッター限定企画も展開。ここでも、“心と体をケアして健やかな生活を”といった、養命酒ならではの想いが込められている。同社WEBサイトでは、使用例として数々のオトボケ動画もアップしており、開発チームの“養命酒を楽しみながら知ってもらいたい”という心意気が感じられる。

 「そうなんです! そして、AIやモバイルバッテリーといった、最先端の言葉と伝統的な養命酒をくっつけたときのギャップ? インパクトも、なかなかのものでしょう!? 『キャンペーンをきっかけに飲んでみた』という声も届いていて。養命酒の良さが伝わってくれて、ボクもうれしいです!」(ビンくん)

 「若い世代の方たちも、『自分にはあまり関わりのない、古くからある固い企業だと思っていたけれど、何か面白いことをやっているな』という認識になってきました。『今度は何を仕掛けてくるんだろう!?』といった声も増えてきていますね」(鳥山さん)

 これらの努力により、以前はコアなターゲットではなかった20代後半から40代にも、ユーザーが拡大してきているという。実際、2013年から2015年にかけて行われた計4回のゴルゴキャンペーンでは、応募総数が約9万1000件に。2014年から2015年のキャンペーン期間中、新規ユーザーの若年層売上の割合は前年比120%。キャンペーンをはじめとした養命酒のチャンレンジは、着実に結果に繋がっているようだ。

■SNSでも活躍するビンくん、「旬のものには乗っかっておきたい」

 『AI養命酒』キャンペーンは、その斬新な発想ゆえにSNSでも大いに盛り上がった。ツイッターでは、「AI養命酒」「OK養命酒」のキーワードが初動1週間で2800万のリーチを達成。毎回、ナナメ上をいくグッズ展開に、「売って欲しい」「もっと数を増やして欲しい」という声もあるという。

 「とってもありがたいですし、がんばって開発した甲斐がありました。でも、あくまでもキャンペーンの特別な賞品としての価値を重視したいんです。あっ、ちなみに、大好評の『AI養命酒』は、見た目だけバージョンアップした<メタルエディションDX>を、なんと2個! 追加できたんですよ!」(ビンくん)

 養命酒のイメージ戦略を担うビンくんは、キャンペーン以外でも公式ツイッターで活躍。商品や効能の紹介はもちろん、ビンくんやハコさんの面白写真や動画も公開している。『仮面ライダージオウ』のニュースが話題になったときは、“ジオウ”と、養命酒の生薬のひとつである“地黄”をかけた、エスプリに富んだつぶやきを放っていた。

 「せっかくSNSを任されているんですから、旬のものには乗っかっておきたいんです。情報には敏感でないとね! ビンだけに~」(ビンくん)

 「ちょっとしたツッコミどころのあるトーンはいいけれど、何かを批判したり、傷つけたりといったネガティブなことは控えるように、とは言ってあります。ちゃんとルールは守るようにね」(鳥山さん)

 「はい! これからも、養命酒をはじめ、みなさんの健康や日常に役立つ情報を届けていきたいと思います!」(ビンくん)

■昭和初期には少年誌に広告、今の時代ならSNSを活用

 年配向けのイメージが強かった養命酒だが、冷えや胃弱、疲労感は年代に関係なく気になるもの。若年層にも養命酒を手に取ってもらいたいという願いは、新進気鋭の社員「ビンくん」の働きもあって、着実に叶えられてきた。今後も養命酒を柱に、若者向け、女性向け商品の充実を測っていく。

 「<ハーブのお酒>シリーズや、ノンカフェインの栄養ドリンクなど、20~30代向けの商品に関しても、もっと広めていきたい。そこにはやはり、本体の養命酒ブランドの若返りは大事だと思っています。昭和初期には少年誌にも広告を出していたせいか、昔、マンガ雑誌で見ていたという方が大人になって養命酒を手に取ってくれていたりする。若い頃に一度接してもらうことの重要性も認識しているので、今の時代ならではのSNSでのPRは、これからも力を入れていきたいですね。ビンくんには、期待していますよ(笑)」(鳥山さん)

 「はい! ボクも、お客さんには楽しく、健やかな日々を送ってもらいたいですから。これからも、微力ながらサポートさせていただきます! 気になった方はぜひ、ボクのアカウントをフォローしてくださいね~」(ビンくん)

(文:根岸聖子)


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