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 大手企業などの学生の採用活動について定めた経団連の指針廃止に向けた動きが、徳島県内の企業に波紋を広げている。ルールがなくなれば採用活動の早期化や長期化が予想され、都市部の大手企業との競争激化で人材確保が厳しさを増す中、選考方法や採用スケジュールの大幅な見直しを迫られることになると懸念する声が出ている。
 
 通年での採用活動になれば、地方や中小の企業には厳しい環境になる可能性が高い。大手など人気のある企業の採用枠が埋まらないうちは学生が集まりにくく、内定を出しても辞退される恐れがある。採用を担当する人材が限られる中で業務への負担も大きくなる。

 県内企業からも「ルールが廃止されると採用活動に混乱が生じる可能性がある」(四国化工機)、「学生のことを考えると就活の長期化などの影響は大きく、撤廃はいかがなものか」(ニホンフラッシュ、徳島銀行)と影響を不安視する声が聞かれる。「政府や経済界、大学関係者などが来月に新設する会議でどのような新たな枠組みを決めるのか注視していきたい」(阿波銀行)など、各社とも一定のルールづくりの必要性を訴える。

 大企業に人材が流れ、東京一極集中が加速することを懸念する声も根強い。社会福祉法人健祥会の担当者は「ルールがなければ大企業が採用活動を自由に行え、これまで以上に県内の学生が都会に流れてしまう」と話す。既に一括採用と併せて通年採用も行っている富田製薬も「大手が早く動き始めると、どれほどの学生が地方に目を向けてくれるか」と危機感を募らせる。

 一方、経団連の指針は形骸化も指摘されており、冷静に受け止める企業もある。大塚製薬工場は「よりよい人材を獲得できる機会が広がると前向きにとらえたい」と回答。日亜化学工業は「採用活動の長期化は避けられないと思うが、それに合わせて対応するしかない」とした。

 キョーエイは「撤廃されても、説明会などが頻繁に開かれるピーク時を逃さずに対応できれば、県外大手に大きく出遅れることはないだろう」とみている。

 会員企業で合同説明会を行っている県中小企業家同友会の山城真一代表理事は「地元の若者が県外に流出し人材獲得競争が厳しくなる」としつつ、「外部環境の変化は企業経営につきもの。企業も変化に対応できる経営をする必要がある」と話した。