耕作放棄地を活用して整備された大規模太陽光発電所=阿南市長生町

 徳島県阿南市長生町の耕作放棄地約5ヘクタールを農地転用して5月に完成した大規模太陽光発電所(メガソーラー)を巡る贈収賄疑惑で、県警捜査2課と阿南署は12日、収賄の疑いで元市農業委員の男(71)=阿南市那賀川町=、贈賄の疑いで自然エネルギー発電事業会社「ガイアパワー」(阿南市)の元顧問の男(67)=徳島市北山町=を逮捕した。県警は両容疑者の認否を明らかにしていない。


 逮捕容疑は、農業委員を務めていた男が2016年5月と17年7月の2回、ガイアパワーによるメガソーラーの建設に当たり、農地転用を伴う認定申請などで便宜を図ることへの謝礼と知りながら、同社顧問から計100万円の賄賂を受け取ったとしている。

 捜査2課によると、農業委員の男は農地転用や荒廃農地の評価などで審議や議決を行う権限があった。元顧問は太陽光発電事業で関連機関との交渉を担っており、メガソーラー計画の実現を目指す中で農業委員に近づいたとみられる。

 メガソーラーの建設計画は、ガイアパワーが事業実施のための合同会社を設立した14年11月に始まった。阿南市農業委員会が、長生町の耕作放棄地を再生利用が困難な「荒廃農地」と判定して「農用地区域内農地」からの除外を承認した後に、1回目の賄賂50万円が当時副会長だった農業委員に渡った。

 その後、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく手続きが進み、17年6月に市が設備整備計画を認定。これでメガソーラー建設のための農地転用が可能になり、同年7月に2回目の賄賂50万円の受け渡しが行われた。

 賄賂は2回とも農業委員の銀行口座に振り込まれていた。

 県警は昨年、事件の端緒となる情報を得て内偵捜査を進めていた。12日は捜査員約40人態勢でガイアパワーなど6カ所を家宅捜索した。

 ガイアパワーを傘下に置く藤崎電機グループは「組織的関与によるものではないという認識で、警察の捜査に全面協力している。外部弁護士による調査委員会を立ち上げ、事実関係の調査や原因究明を進めている」などとするコメントを出した。