今夏、記録的な猛暑を体感した私たちには、極めて現実的な未来図といえよう。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、今のペースで地球温暖化が続くと、2040年前後に自然災害や環境面のリスクが深刻になると予測する特別報告書をまとめた。

 科学者らがデータを詳細に分析した結果である。各国は警告をしっかりと受け止め、温暖化防止に向けた対策を強力に進めていかなければならない。

 報告書は、現在の気温は18~19世紀の産業革命前から既に1度前後上昇しており、40年前後には1・5度高くなる恐れがあるとした。

 これにより、猛暑や豪雨、干ばつなどが大幅に増えて自然災害が多発し、人の健康、水や食料の供給、経済のリスクが増すとしている。最近の「異常」が、当たり前になるということである。

 20年に始まる「パリ協定」は、気温の上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げている。しかし、現状では、参加国の二酸化炭素(CO2)排出削減目標を積み上げても、2度未満すら達成できない見通しだ。

 報告書は、1・5度にとどめるには30年までに排出量を10年比で約45%減らし、50年ごろに実質ゼロにしなければならないと分析している。

 各国はさらに厳しい削減策を打ち出し、CO2の回収・貯留などの技術開発を進める必要がある。

 パリ協定からの離脱を表明したトランプ米大統領を粘り強く説得し、引き留める努力も求められる。

 もどかしいのは、日本の取り組みの鈍さである。政府は30年までに排出量を13年比で26%減、50年までに80%減らすとの目標を掲げているが、不十分なのは明らかだ。

 7月に改訂した「エネルギー基本計画」では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「主力電源化」すると明記したものの、その意気込みも疑わしい。

 30年度の発電割合を22~24%のまま据え置いた上、九州電力が先日、供給量の調整を理由に、太陽光発電の出力制御に踏み切ったからだ。

 政府のルールは、原発の稼働を優先し、火力発電などを抑えた後に再生エネを抑制するようにしている。

 今後、他の地域でも出力制御が頻発する可能性があり、再生エネの導入意欲を後退させかねない。政府と電力各社は、広域融通できる送電網の増強や、余剰分を取り置く蓄電池の増設に力を注ぐべきである。

 石炭火力発電所の計画が、全国で約40に上るのも見逃せない。このため日本は昨年、温暖化対策の前進を妨げているとして、世界の環境NGOでつくる団体から不名誉な「化石賞」を受けた。

 原発も石炭火電も、世界では縮小の流れにある。取り残されないよう、政策の抜本的な見直しを強く求めたい。