徳島市文化センターで行われた「舞台・眉山」の一場面=2009年9月11日

 2009年9月11日から13日までの間、現在解体準備工事が行われている、徳島市文化センターで「舞台・眉山」の公演が5回にわたり行われた。

 当時(N)は企画事業部に所属、この公演のお手伝いをしていた。

 宮本信子さん、黒谷友香さん等、大物俳優が東京・明治座と同じキャストで出演。阿波踊りの場面では県内の有名連から選抜された踊り子さんが登場、主役らと共演するといったスペシャルな演出もあった。

 本格的な舞台に、ストーリーを知っていても俳優さんの演技に引き込まれ、観客は感動。口コミで良さが広がり、最終日には当日券を求める問い合わせが相次いだ。

 この舞台、設営とリハーサルにほぼ1週間掛かった。

 演出家や照明スタッフ等は、すでに文化センターのホール詳細図面など各種資料を持っていた。にもかかわらず、照明などスポットを設置する場所は現地で何度も修正され、少しずつずらして調整。一つ整えると次、次…。最終的に何度も繰り返され仕上がっていった。

 当時すでに、文化センターは開設から年月がたっており老朽化。この照明等を取り付ける「バトン」の数が限られ、重量の制限もあったため、作業には予定以上の時間が掛かっていたのだった。

 もう一つ「眉山」には欠かせないものがあった。多くのホールに設置されている「回り舞台」だ。

 明治座にも舞台中央部に大きな「回り舞台」が常設されており、「眉山」もこの「回り舞台」上に3場面を作り転換を行っていた。

 文化センターにはこの「回り舞台」が無かった。徳島での公演ではどうする? 「無いなら作ろう」。最後まで予算の関係で、手動(当時の市長も「回すのを手伝うよ」と言っていた…)の「回り舞台」を設置するとしていたが、出来上がったものは本場・明治座には大きさでこそ及ばないものの、電動で回転するモーター式の立派なもの。舞台の進行もスムーズだった(もちろん多くの費用も掛かったが…)。

徳島市文化センターに設置された「回り舞台」
 

 だだ、惜しむべくは「回り舞台」を設置したため、床面が通常より約70センチ高くなり、前方席の観客が見上げて観劇しなければならなくなったことだ。

 「常設の回り舞台があったら、こんなことにはならなかったのに…」。と当時強く思ったものだ。

 現在、文化センター敷地を建設候補地として新ホール建設に向けた検討が進められている。

 ホールの収容人数や建設費用に気を取られがちだが、出来上がって利用する人たちのことが考えられているのだろうか。

 さまざまな催しを見に行く人。その舞台を利用し表現する人、その中には歌手もいれば演劇、ダンス等を披露する団体もあるだろう。もちろんそれを支えるスタッフもいる。難しいとは思うが、新ホール建設には関係する多くの人の生の声、意見を採り入れてほしいと切に思う。

 新ホールのこけら落としには「眉山」が見たいなあ。