投球数制限の導入に当たり、医学的根拠を説明する松浦医師(右から3人目)=徳島市のJAバンク蔵本公園

 徳島県軟式野球連盟は、投球動作を繰り返すことで生じるスポーツ障害・野球肘を予防するため、小学生の投球数を制限するルールを来年から設ける。投手1人の上限を1日70球とし、高円宮賜杯全日本学童大会県予選(3月)など県軟野連が主催する年間5大会に導入する。全日本軟式野球連盟によると、投球数を制限するのは全国で初めて。

 医師や理学療法士らでつくるNPO法人徳島みらいネットワーク(徳島市)が夏の県大会「こども野球のつどい」で毎年実施している検診では、選手の約3割が肘に痛みを訴えている。このため、投球数を量的に制限するルールを設けることにした。

 今夏の同大会1、2回戦の調査では、各チームの1試合当たりの投球数(7イニング)は87~162球。投手1人で完投するケースも、複数の投手が継投するケースもあったが、上限70球の新ルールに基づけば、ほぼ全試合で継投が必要となる。

 専門医学会・日本臨床スポーツ医学会は上限50球を提言している。これに沿うと、1試合に3人以上の投手が必要となるため、人数不足に悩むチームが多い現状を考慮して上限を引き上げた。70球に達した時点の相手打者を抑えれば3アウトとなり攻守が交代するケースに限り、上限を超えてもその打者との対決だけは続けることができる。

 10月25日に徳島市のJAバンク蔵本公園で関係者を集めた説明会があり、徳島大大学院特任教授の松浦哲也医師(整形外科)が「投手が障害を負うリスクは野手より高い」といった研究成果を示し、野球肘を予防する必要性を説いた。出席者からは、チーム運営の苦しさを訴える声も上がったが、県軟野連が理解を求めた。

 県軟野連の十川佳久理事長は「医師らに協力してもらいながら検証を重ね、未来ある子どもたちが故障なく、楽しく野球に打ち込める環境整備に尽力する」と話している。


 ◆野球肘◆ 投げ過ぎが主な要因とされ、成長期の子どもは骨の一部が剥離したり変形したりしやすい。悪化すると痛みを伴うだけでなく、腕の曲げ伸ばしが十分にできなくなるなど後遺症が残ることもある。