[上]豚の心臓を使ってザンビア人医師に心臓手術のトレーニングをする松村医師(右端)=2017年9月[下]心臓手術を終えた幼児を診る吉田医師(右)=同年11月、ザンビア大学付属教育病院(TICO提供)

 アフリカ南部・ザンビアで保健医療分野などの支援を続けている吉野川市のNPO法人TICO(吉田修代表)が、現地医師への心臓外科手術の指導に取り組み始めた。同国人の専門医がおらず海外から来る医師に頼っていたため、継続的に治療ができる環境を整えようと、昨年9月からスタッフで心臓外科が専門の松村武史医師(45)=徳島市佐古八番町=らが現地の大学病院で技術指導に着手。同11月には同国人医師による心臓手術が初めて成功し、幼児3人の命が救われた。 

 TICOによると、首都ルサカ市にあるザンビア大学付属教育病院のザンビア人医師3人が、心臓の血液循環に異常が出て最悪の場合は死亡する先天性心疾患「動脈管開存症」の2歳女児3人を執刀し、いずれも成功させた。現地では、同国人医師が成功させた初の心臓血管手術として、新聞やテレビが次々と報道して大きな話題となったという。

 ザンビアの年間出生数は64万人で、このうち約6%の3万9千人が5歳未満で死亡している。先天性心疾患など、心臓の病気が原因で亡くなる子どもが多く含まれているとみられ、現地医師による心疾患の継続的な治療が死亡数減少につながると期待されている。

 指導は昨年2月、代表の吉田医師(59)=吉野川市山川町=が妊婦健診などを支援するため現地を訪れた際、大学病院のチルバ・クラランス院長(42)が心臓手術ができる医師の育成を依頼したのがきっかけ。同院には心臓手術ができる一定の医療機器はあるが、使っていたのは他国から来る医療支援チームだけだった。現地医師による手術技能の習得が、大きな課題となっていた。

 依頼を受けてTICOは同9月、松村医師をリーダーに、支援の呼び掛けに応じた徳島赤十字病院の技士ら2人を派遣。大学病院の外科医4人と看護師3人に、豚の心臓を使って心臓手術独特の手技を教えるなど、3週間にわたって集中トレーニングを行った。手術には、続いて指導に訪れた吉田医師らが立ち会った。

 今月末には再度、松村医師らが現地を訪れ、人工心肺装置を使った、より高度な心臓手術の指導に取り組む予定。吉田医師は「現地の医療体制を充実させるには、ザンビア人の手でザンビア人の命を救える環境をつくりあげることが重要。今後も指導を続けていきたい」と話している。


 ◆吉野川市NPO 資機材購入費募る

 TICOは、ザンビアで継続的に心臓手術ができる環境の整備に向け、インターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を通じて手術に使う資機材購入費への支援を呼び掛けている。

 目標額は430万円で、手術に使う機材を滅菌する「ガス滅菌装置」の購入に充てる。これを達成した場合は、さらに430万円を追加募集し、手術中に出血した血液を洗浄するなどして患者に戻す「自己血回収装置」を購入する。装置はともにザンビア大学付属教育病院に設置する。

 募集期間は3月9日まで。目標額に達しなかった場合、寄付金は返還される。CFのホームページは、インターネットで「ザンビアの地に医療を」とのキーワードで検索する閲覧できる。問い合わせはTICO事務局<電0883(42)2271>。