[上]佐野洋子(オフィス・ジロチョー提供) [下]ロングセラー絵本「100万回生きたねこ」

 刊行40周年を迎えたロングセラー絵本「100万回生きたねこ」で知られる作家、佐野洋子(1938~2010年)にスポットを当てた「『100万回生きたねこ』佐野洋子の世界展」(実行委、徳島新聞社、県教委主催)が、2018年7月14日から徳島市の県立近代美術館で開かれる。絵本原画を中心に約100点が展示される。9月2日まで。

 「100万回生きたねこ」は、生死を100万回繰り返してきたネコが、愛する家族を持って初めて幸せな生き方に気付く話。切なく温かみのあるストーリー展開が人気で、1977年の初版以来、国内発行部数は220万部を超え、フランス語やロシア語、中国語など8カ国語に翻訳されている。

 展覧会では、思い切った筆遣いと淡い色彩で描かれた同作の原画18点のほか、草稿も展示される。過去に舞台化された際の関連資料も並ぶ。

 このほか「おれは ねこだぜ」「だってだっての おばあさん」など、さまざまなネコが活躍する作品も紹介する。作品ごとに技法や作風が大きく異なるのも佐野の特長。多彩な手法で描かれた世界が楽しめる。

 このうち「すーちゃんとねこ」は、今回初めて原画が公開される。女の子の「すーちゃん」が意地悪をして、ネコの取った風船を取り上げてしまう話を版画で表現している。パステル調の繊細な色彩が温かい雰囲気を醸し出し、少女とネコの日ごろの仲の良さを感じさせる。

 佐野は1938年、中国・北京生まれ。武蔵野美大デザイン科を卒業後、独ベルリン造形大でリトグラフを学ぶ。帰国後、出産を機に絵本作家としてデビュー。童話や翻訳、エッセーなど幅広い執筆活動を展開し、2003年紫綬褒章、08年巌谷小波文芸賞を受賞。10年に乳がんのため72歳で死去した。会場では絵本原画のほか、佐野が愛用した眼鏡やペンなども展示される。

 県立近代美術館の友井伸一上席学芸員は「佐野さんは文筆家としても人気があった。原画だけでなく、絵と文との関わりにも注目して楽しんでもらえたら」と話している。