空き部屋のまま放置されている徳島市営末広団地の一室。床が変色するなど、老朽化が目立つ=同市末広4

 徳島市営住宅で空き部屋が急増している。入居者が退去した後に行う修繕工事が予算不足でできず、募集に至っていないためだ。部屋の大半で老朽化が進んでいる上、労務単価と資材価格の高騰で工事費が上昇していることが背景にあり、空き部屋はさらに増える見通し。市は打開策に頭を悩ませている。

 市によると、市営住宅は昨年12月1日時点で3953戸あり、このうち入居者を募る予定がある空き部屋は8・6%の343戸に上る。5年前の2012年度は158戸で、2倍以上に増えている。

 年間の退去戸数は12~16年度、150戸前後で推移したが、このうち入居者の再募集に至ったのは最大で年間88戸。耐震性を満たしていないなどの理由で廃止する部屋を除き、空き部屋は年間30戸ほどのペースで増えている。

 中には、4年間にわたって「放置」されている部屋もある。市営末広団地(末広4)では、築53年の鉄筋コンクリート4階建ての棟の1室(3DK、59平方メートル)が13年末に前の入居者が退去してから、空き部屋のままだ。

 部屋の中は傷みが激しい。床は変色し、キッチンはさびだらけ。襖(ふすま)にも所々に穴が開いているが、修繕工事の見積もりの予定はない。市住宅課の担当者は「費用が高額になることが見込まれるので、どうしても後回しになる。広い部屋なので早く公募に出したいが」とこぼす。

 市営住宅の大半は1980年代以前に建てられ、全体の8割近くで築30年以上が経過している。「長期入居者が多いこともあり、修繕は畳や襖だけでなく、壁や水回りなども工事しなければならなくなった」(同課)。労務単価も高騰し、近年は1戸当たりの修繕費が100万~150万円かかる。同課は「以前より3割ほどは高額になったのでは」としている。

 一方、修繕の予算はこの5年間、年間2800万円ほどでほぼ横ばい。国や県からの補助金などはなく、市財政も厳しさを増していることから、大幅な増額は見込めない。

 市は今後、高齢者や障害者向けの住宅を優先的に整備する。入居希望者自らに改装工事をしてもらう「DIY住宅」の導入も検討しており、既に導入している自治体の事例を調べることにしている。