【左から】赤川修也さん、吉田基晴さん、明石知幸監督

 美波町阿部出身の映画監督明石(あかいし)知幸さん(60)=東京都=が、同町のIT会社サイファー・テック社長の吉田基晴さん(46)=同町奥河内=をモデルにした映画を製作する。脚本は明石さんが書き下ろし、同町赤松出身の映像作家赤川修也さん(70)=東京都=が撮影監督を務める。町出身者が顔をそろえ、古里への思いや地域活性化についてのメッセージを込めた作品にする考えだ。撮影は主に町内で行う予定で、5月の撮影開始を目指している。

 作品は、人材難にあえぐIT会社社長が主人公。古里の美波町に拠点を移して採用を進め、さらに地域課題の解決に向けたベンチャー企業を立ち上げたものの、地方が抱える問題に直面していくというストーリー。タイトルは「ポンコツ」(仮称)で、吉田さんが「懸命に誰かのために動く人」に愛情を込めて呼ぶ口癖から付けた。

 吉田さんは、東京でIT会社を設立した後、美波町にサテライトオフィスを開設、後に本社を移した。仕事と趣味や生きがいを両立させる「半X半IT」の理念を打ち出して人材を集め、サテライトオフィス誘致などで地域活性化を図る会社「あわえ」も設立した。

 美波町が舞台の映画を撮りたいと考えていた明石さんは、こうした吉田さんの活動に着目。映画化を決意し、昨年5、6月に吉田さんらに取材し、脚本を書いた。

 映画「限りなく透明に近いブルー」「降りてゆく生き方」で撮影監督を務めた赤川さんに協力を依頼した。明石さんと赤川さんがタッグを組むのは初めて。

 製作費は数千万円になる見込み。明石さんは現在、映画プロデューサーで妻の天野真弓さん(59)と製作委員会の設立に向けて出資者を募っており、キャスティングも進めている。資金が集まれば5月に撮影を開始し、7月の完成を目指している。

 15日には、影治信良町長ら地元の支援者13人が映画化の機運を盛り上げようと「町映画を推進する会」を立ち上げ、第1回会合を町役場で開いた。明石さんと赤川さんが映画について説明し、「美波町の名と人情を全国に届けられれば。皆さんに協力をお願いしたい」と話した。

 明石さんは早稲田大卒業後、1982年ににっかつ撮影所(現・日活)に助監督として入社。「免許がない!」「キリコの風景」などの監督を務めた。現在はフリーで映像制作や映画プロデュースを行っている。