茶葉を天日干しする生産者=昨年7月下旬、那賀町大久保

 国の文化審議会は19日、上勝、那賀両町などで古くから作られてきた阿波晩茶を含む「四国山地の発酵茶の製造技術」を、消滅の恐れがあり記録を残すべき無形民俗文化財として選定するよう、宮田亮平文化庁長官に答申した。茶葉を強制発酵させる阿波晩茶などの「後(こう)発酵茶」は、四国、中国の山間部で広く生産されていたが、現在、製法の継承が確認されているのは四国山地だけ。日本の茶文化を知る上で貴重な点が評価された。

 阿波晩茶のほか、愛媛県西条市の石鎚黒茶、高知県大豊町の碁石茶の2件も選定するよう答申された。いずれも茶葉を人為的に乳酸発酵させる後発酵茶で、茶葉を発酵させない緑茶や、自然発酵させるウーロン茶、紅茶とは製法が異なる。

 阿波晩茶は、夏場に摘み取った茶葉をゆでて手や機械でもみ、おけに2週間~1カ月漬けて発酵させる「一段発酵」を経て天日干しし、完成させる。

 石鎚黒茶と碁石茶も基本的な製法は阿波晩茶と同じだが、おけで発酵させる前にカビを付着させて発酵させる「二段発酵」を行う。

 県教委によると、阿波晩茶は明治時代には既に県内各地で作られ広く飲まれていたが、業種転換や人口流出で生産者が減少。現在は上勝、那賀両町など一部地域で、手作業中心の昔ながらの製法を受け継いでいる。

 後発酵茶の製法は、茶の原産地に近いタイやミャンマーの山間部で食べられている茶葉の漬物と共通点が多い。古くから伝わる技術と考えられ、日本の茶の歴史を考える上でも価値が高い。

 記録を残すべき無形民俗文化財になれば食品関連では全国で初めてで、技術の記録や保存に関する経費の半額が国から支給される。県教委は、生産者の分布や製法、道具について調査を進め、国重要無形民俗文化財指定を目指す。