[上]こけらぶきの修復が進む真珠庵の屋根(「柿」より ©naoko tamura)[下]写真家田村尚子さん

 徳島市出身の写真家田村尚子さん=京都市=が、京都・大徳寺の塔頭(たっちゅう)寺院「真珠庵」の修復工事の様子を収めた写真記録集「柿(こけら) KOKERA」(真珠庵刊)を出した。一休宗純ゆかりの名刹(めいさつ)を約1年かけて撮影し、建造物の美しさや素材のぬくもり、職人技の精巧さなどを伝えている。

 真珠庵は一休宗純を開祖として15世紀に創建された。普段は非公開となっている。2016年、国の重要文化財に指定されている書院と茶室の屋根のふき替えなどが行われた際、山田宗正住職が田村さんに撮影を依頼した。田村さんは1年近く通い詰め、工事の一部始終をカメラに収めた。

 写真集では、手割りで厚さ3ミリにそろえたサワラの板材を竹くぎで打ち重ね屋根にする「こけらぶき」という工法に焦点を当てた。修復前の傷んだ屋根の様子や、サワラの板材を整然と並べて屋根が出来上がる過程、作業する職人の手、サワラが育つ森などの写真を収録している。想像力をかき立てようと、説明文はあえて省いた。

 田村さんはフランスの精神科病院の日常を物語のように撮った写真集「ソローニュの森」(医学書院刊)など、人物を被写体にした抽象的な作品づくりをすることが多い。今回の写真集でも、建物や修復工事を記録する一方で、「人と自然の営み」に迫った。

 「傷みの激しい建物が職人の手を介して再生していく過程は、日本人の精神性に触れる貴重な体験となった。まるで彫刻のような美しさも目を引くが、人や木がつくる温かみを感じてもらえたらうれしい」と話している。

 「柿」はB5変形判、120ページ。3千円(税別)。購入は制作ユニット「ヴュッター公園」のホームページ(http://vutterkohen.com/)から注文する。