弟子の伊藤さん(右)に技術を教える原田さん=阿南市福井町古毛

 阿南市福井町古毛にある県内唯一の醸造用のたるメーカー「司製樽(つかさせいたる)」の代表で、たる職人の原田啓司さん(33)=同市長生町北貝ケ原=が全国から弟子を募り、技術の伝達に取り組んでいる。東京都内で職人仲間とワークショップを企画したところ、埼玉県出身の女性が初めて弟子に入った。原田さんは「全国から弟子を呼び込み、技術を伝えていきたい」と話している。

 原田さんによると、たる職人は現在、全国に60人ほどしかおらず、将来的に減少が予想されるため、後継者の育成を決意。2016年6月以降、ワークショップのほか、全国のハローワークや職業訓練学校で弟子を募った。

 原田さんに弟子入りしたのは、埼玉県新座市出身の伊藤翠さん(33)=阿南市福井町古毛。伊藤さんはアウトドア用品メーカーでアルバイトをしていたが、ワークショップに参加し「一生かけて技術を磨ける仕事をしたい」とたる職人を希望した。

 一人前の職人になるには6年程度かかるとされ、原田さんの作業を手伝いながら、技術を身に付けている。伊藤さんは「いつかは独立して地元・埼玉で地域の人々の役に立ちたい」と意気込んでいる。

 原田さんは2005年、県内の木製容器メーカーに就職。ベテランのたる職人から技術を学んだり、独学で身に付けたりして11年に独立した。注文を受けた酒やしょうゆ、みそなど醸造用のたるのほか、湯おけやおひつなど約30種類の商品を作っている。県内外の個人や酒蔵、神社などからたるの修理の依頼も受けている。

 原田さんは「これからも昔ながらの道具を大切に使う人々の役に立ちたい」と話している。