川岸美奈子被告

 徳島県のとくしま記念オーケストラ事業などで得た所得を申告せずに税金約3千万円を免れたとして、法人税法違反などの罪に問われた音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京、解散)と元代表取締役川岸美奈子被告(58)の論告求刑公判が9日、東京地裁(駒田秀和裁判官)であった。川岸被告は被告人質問で、脱税の理由について「忙しくて失念していた」と釈明。検察側は「犯行の態様は悪質」として、プロダクションに罰金900万円、川岸被告に懲役10月を求刑し、結審した。判決公判は3月26日に開かれる。

 川岸被告は弁護側の被告人質問で、確定申告をしなかった理由について「業務の忙しさに追われ、失念していた」と説明。最後に気持ちを問われ、「国民の義務を果たさず申し訳ない。関係者に迷惑を掛け、おわび申し上げます」と話した。

 論告で検察側は「脱税額と所得はともに高額で結果は重い。法軽視の態度は甚だしく、身勝手かつ無責任な理由で犯行に及んだ」などと指摘した。弁護側は最終弁論で「脱税額は全額納付しており、真摯(しんし)に反省している。徳島のコンサートを成功させるため、適切な配慮で業務を遂行していた」とし、情状酌量を求めた。

 この日の公判では、川岸被告が徳島県の音楽事業に深く関わるようになった経緯などには触れられなかった。

 起訴状によると、川岸被告は2016年7月期までの3年間、所得約1億2900万円を確定申告せず、法人税など約3千万円を免れたとしている。関係者によると、所得の大半は記念オケの業務で得た手数料だったとみられる。川岸被告は記念オケの立ち上げに関わり、11年5月~13年3月には県の非常勤の政策参与も務めた。