徳島に今季新加入した和田。ミュージカル俳優としても活動している=鳴門市内

 徳島インディゴソックスに今季新加入した和田一詩投手(23)=愛知県出身=は、ミュージカル俳優という珍しい肩書を持っている。野球と役者の「二刀流」で夢を追う右腕は「いつか東京ドームで150キロを投げ、帝国劇場ではメインキャストを務めたい」と張り切っている。
 
 高校3年の2012年に劇団四季のオーディションを受け、10倍を超える難関を突破。「ライオンキング」や家族向けのミュージカルに出演し、フリーとなった15年からは神奈川県を拠点に舞台活動を続けている。
 
 小学生の時にライオンキングを見てミュージカルに魅せられ、舞台俳優を志した。暇があればブロードウェーの動画を繰り返し再生し、独学で声の出し方を学んだ。
 
 同じころ、プロ野球選手に憧れて地元の少年野球チームで白球を追った。中学でも野球を続けたが、高校では吹奏楽部に入り、音楽にのめり込んだ。
 
 昨年6月、舞台稽古の休憩中に先輩俳優とキャッチボールをしたのがきっかけで野球への思いが再燃する。元高校球児のその先輩は潜在能力に驚き、「きちんと練習すればプロに行ける」と入団テストの受験を勧めた。
 
 和田は硬式野球未経験ながら、178センチ、75キロと体格に恵まれている。先輩の言葉に発奮してトレーニングを始め、大好きな巨人の菅野投手の動画を研究。スライダーやフォークなどの変化球をマスターし、直球は130キロ台中盤に達した。
 
 昨年9月に巨人の入団テストを受け、2次試験のブルペン投球まで進んだ。しかし、ドラフトで指名されずに11月、四国アイランドリーグplusのトライアウトを受けた。契約を決めた徳島の南啓介球団代表は「雰囲気づくりは超一流。球団が劇団みたいになれば面白い」と期待する。
 
 和田は23~25日、名古屋市で開かれる市文化振興事業団主催のミュージカルに出演する。今はチームを離れているが、シーズン中は野球に専念。夜間や休日の発声練習を怠らずに、オフの舞台やライブ出演に備える。
 
 ルーキーイヤーの目標は抑えとしてフル回転することだ。「ファンサービスとしてマウンドで歌いたい。人の心を動かす存在になれれば」。球界きってのエンターテイナーが、徳島を大いに盛り上げる。