徳島ヴォルティスの試合前、岩尾主将に花束を渡す大杉漣さん(右)=2017年5月13日、鳴門ポカリスエットスタジアム

 21日に急死した俳優・大杉漣さん(徳島県小松島市出身)が熱心に応援していたサッカーJ2徳島ヴォルティスの選手や関係者は深い悲しみに包まれた。「結果で喜んでもらえるよう、やるしかない」。今季の開幕は25日。チームにとってはJ1に昇格しなければならない理由が一つ増え、決意を新たにした。
 
 大杉さんは、城北高などでサッカーに打ち込んだ。俳優になってからも仲間とチームを立ち上げ、プレーを楽しんでいた。
 
 徳島ヴォルティスの熱心なサポーターとしても知られた。毎年、年間会員となり、時間が許す限りホーム、アウェーを問わず、スタジアムに足を運んだ。
 
 初めて徳島がJ1昇格を決めた2013年12月のプレーオフ決勝も仕事を終えてから国立競技場(東京)に駆け付け、歓喜の瞬間を見届けたという。昨年11月19日、J1昇格プレーオフ進出の望みが絶たれた東京ヴェルディ戦が観戦した最後の試合となった。
 
 昨年5月、鳴門ポカリスエットスタジアムで行われたFC岐阜戦の試合前には、両チームに激励の花束を贈呈した。
 
 受け取った岩尾憲主将は力強く握手したことを思い出しつつ、「(早すぎる死に)言葉が見つからない」と沈痛な表情を浮かべた。「おそらく今年の開幕戦も楽しみにしていたはず。勝つことで何かを届けられたら」と、ファジアーノ岡山と戦う開幕戦での必勝を誓った。
 
 徳島スポーツビレッジには22日、多くの報道陣が詰め掛けた。岸田一宏社長は「熱い思いを寄せて応援していただいたことに深く感謝申し上げます。シーズン終了後には良いご報告ができるよう、全力を尽くします」とコメントした。
 
 サポーターからも悲しみの声が上がった。JFL時代からスタジアムに通う澤田慎也さん(46)=徳島市大谷町、飲食店経営=は「弱い時も強くなってからも一緒に応援してくれて心強かった。遺志を受け継いでスタンドがこれまで以上に団結し、昇格を後押ししたい」と話す。
 
 庄野浩司さん(44)=徳島市南昭和町、飲食店経営=は冥福を祈りながら「古里のチームや選手をいつも気に掛けてくれる大きな存在だった。天国から徳島のサッカーを見守ってほしい」と語った。