今年の国政の最大の焦点は、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案の攻防である。

 並行して進められる日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定では、自衛隊の活動範囲や任務を飛躍的に拡大させる方向になっている。

 このままでは、戦後の日本が築いてきた「平和国家」の在り方が変質する恐れが強い。それを許していいのか。憲法が掲げる平和主義の行方が問われる年となる。

 集団的自衛権について、安倍政権は「日本の存立が脅かされ、国民の幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合など、武力行使の3要件を設けたため、限定容認だと説明している。

 だが、拡大解釈によって武力行使するケースが際限なく広がる懸念は拭いきれない。

 安倍晋三首相は、中東地域のシーレーン(海上交通路)で、停戦前に機雷除去ができるとしている。石油供給が滞れば、国民生活に死活的な影響が出るからだというが、日本の存立が脅かされる明白な危険とまでいえるのか。

 日米ガイドラインの再改定で自衛隊の活動範囲や任務が広がれば、戦争に巻き込まれる可能性は一層高まる。

 首相は安保関連法案を5月ごろ、次期通常国会に提出する方針だ。武力行使にどう歯止めをかけるのか、丁寧に説明しなければならない。

 「平和の党」を自任する公明党の役割も問われよう。

 重大な責任を負うのは野党である。野党がしっかりしなければ与党の暴走を止めることはできない。

 昨年末の衆院選では、自民党の「1強」と野党の「多弱」の継続を許した。安倍政権に対抗する有効な政策を示せなかったからだ。

 特に野党第1党の民主党は、集団的自衛権をめぐって党内に賛否両論があり、迫力に欠けた。これでは巨大与党に到底太刀打ちできまい。今月実施する代表選で議論を尽くし、立場を明確にして国会に臨むべきだ。他の野党も法案の問題点を厳しく追及してもらいたい。

 今年は戦後70年の節目である。いつまでも中国、韓国との関係が冷え込んだままではいけない。安全保障の面からも修復が求められる。

 中韓両国の自制を含め、地道な積み重ねが必要だ。

 原発政策の行方にも目が離せない。安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働推進の姿勢を鮮明にしている。

 再稼働が見込まれているのは、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)などだ。しかし、事故時の避難計画に不備が指摘され、周辺自治体の反発もある。世論調査では反対が賛成を上回っている。

 安倍政権は国民の声に耳を傾け、再生可能エネルギーの普及を加速させ、原発に頼らない姿勢に転換すべきだ。

 急がれるのは、「1票の格差」是正に向けた衆参両院の選挙制度改革である。

 参院は来年夏の選挙が迫っているにもかかわらず、与野党協議会の意見集約は行き詰まっている。衆院は第三者機関の調査会が議論しており、夏ごろに答申を得る運びだ。

 両院とも、最高裁から1票の格差をめぐって「違憲状態」の判決を受け、議員としての正当性が問われている。先延ばしはできない。早急に結論を出すよう求めたい。