新春の阿波路を駆け抜ける第61回徳島駅伝の号砲がきょう、海陽町の宍喰橋で鳴る。
 
 6日までの3日間、全16郡市(オープン参加の名東郡を含む)の代表が、全44区間268・2キロで健脚を競う。
 
 きのうの開会式では、阿波市の澤善弘主将が「日ごろ支えてくれる仲間や家族への感謝の気持ちを持って、チーム全員でたすきをつなぐ」と選手宣誓した。
 
 その言葉通り、伸び盛りの中高生から一般・大学まで世代を超えたランナーたちが郷土のチームのために心を一つにして、たすきをつなぐ。
 
 その姿は沿道の観衆に、勇気とあすへの活力を与えてくれる。抜きつ抜かれつ、手に汗握るデッドヒートを繰り広げる選手たちを、盛大な拍手と声援で後押ししたい。
 
 徳島駅伝は昨年、60回の節目、人間でいえば還暦を迎えた。伝統ある大会の新たな一歩を、名勝負とともに踏み出せれば幸いだ。
 
 昨年は夏に阿南市や那賀町で豪雨被害があり、年末には三好市、つるぎ町など県西部を中心に雪害が起きた。南から西へ、熱い走りで被災者の皆さんを元気づけてほしい。
 
 第1日の南方コースは2年ぶりの那賀コースである。海沿いから山間部へと続く登り坂で、選手の日ごろの鍛錬ぶりが試される。
 
 レースは、4連覇を目指す鳴門と、4年ぶりの王座奪回を狙う徳島の競り合いが予想される。
 
 鳴門は、実業団の強豪・大塚製薬陸上部のランナー5人を擁するほか、大学生の成長もあって一般勢が前回より力を伸ばした。高校駅伝で活躍する鳴門高勢ら若い力の走りも見ものだ。
 
 前回、3位に甘んじた徳島は四国電力、徳島市体育振興公社、大塚製薬など充実した一般勢と、全国高校駅伝(男子)出場の徳島科学技術高勢らを軸に巻き返しを図る。
 
 この2強を追う美馬市、板野、小松島、阿南が、上位争いにどう絡んでくるかにも注目したい。
 少しでも順位を上げようと力を振り絞るすべてのチームが大会の主役である。
 
 もちろん、勝負ばかりが駅伝ではない。「徳島から五輪選手を出そう」をスローガンに1955年に始まった徳島駅伝は、選手育成の場でもある。これまでに4人の五輪選手を送り出し、「5人目を」というのが関係者の願いだ。
 
 2020年の東京五輪で徳島駅伝育ちのランナーが長距離種目やマラソンを走る、そんな夢も膨らむ。力強いストライドを刻む少年・少女ランナーらの中に、あすの五輪選手を探すのも沿道での楽しみの一つである。
 
 
 このところ、県内のあちこちでジョギングする人の姿が目につくなど県民のランニング熱は高まっているようだ。
 
 08年に始まり、3月で8回目を数える「とくしまマラソン」には、多くの県民が参加し、沿道の温かい応援が名物になった。
 
 駅伝を見ているうちに、自分も走りたくなる人もいるだろう。多くの人に、健康増進にも役立つランニングの楽しさを知ってもらいたい。
 
 今回、初めて参加するランナーもいれば、春には就職などで徳島を去る裏方さんもいるようだ。関係者が一体となって、駅伝を愛するすべての人のよき思い出になる大会にしたい。