強毒性のH5型高病原性鳥インフルエンザウイルスが先月、宮崎県延岡市、宮崎市、山口県長門市の養鶏場で相次いで確認された。
 
 両県は計8万3千羽を殺処分したほか、域外への移動・搬出の制限や消毒の徹底など対策を進めている。
 
 いずれも感染の拡大は確認されておらず、最初に発生した延岡市では制限が一部解除された。
 
 だが、油断はできない。国や関係自治体は一日も早い終息に向けて防疫に努めなければならない。
 
 宮崎県では2011年に13の養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、約102万羽を殺処分した苦い経験がある。山口県も04年に日本の家禽(かきん)では79年ぶりにウイルスが検出された地域であり、ともに防疫に対する意識は高いはずだ。
 
 農林水産省の調査では、延岡市、宮崎市ともに鶏舎の金網の破損など衛生管理上の問題は見つかっていない。どうすればよかったのか。リスクをなくす方法が見つからず、関係者は頭を抱えている。
 
 有効な対策を講じるには、感染経路の特定は欠かせない。国などによる調査の徹底が必要である。
 
 韓国では鳥インフルエンザが大流行しており、昨年1年間で約1400万羽が殺処分されている。朝鮮半島を経由して飛来する渡り鳥がウイルスを持ち込むのは、防ぎようがない。
 
 国内3カ所で検出されたウイルスはいずれも、韓国で発生が相次いだものと同型だ。
 
 専門家は「韓国での流行もあり、ウイルスを保有した野鳥が例年より多く入っている可能性がある」と警告している。気掛かりなのは、日本海側の寒波の影響でカモ類が太平洋側に多く飛来しているとの識者の指摘だ。
 
 渡り鳥が原因ならば、徳島県でもいつ発生してもおかしくない状況だ。危機感を持って、十分に備えなければならない。
 
 宮崎、山口両県での発生を受けて、徳島県は養鶏団体や市町村の担当者を交えて防疫対策会議を開き、県内にある248農場周辺の消毒の徹底などに取り組んでいる。消毒用の消石灰も無償で配った。
 
 家畜の伝染病対策で重要なのは、早期発見と迅速な初動対応である。
 
 養鶏農家は観察をより慎重に行い、異常に気付けば直ちに通報するよう心掛けたい。
 
 ウイルスを防ぐには消毒強化のほか、野鳥や小動物が侵入しないように防鳥ネットの小まめな点検も欠かせない。
 
 一般県民も、野鳥の大量死を見つけた場合は自治体に連絡したい。感染した鳥と濃厚な接触をしない限り、感染を過度に心配する必要はないとされるが、死骸を素手で触るのは避けたい。鳥のふんに触れたら手洗いやうがいを徹底しよう。
 
 鳥インフルエンザは経済的被害だけではなく、生命と健康に対する大きな脅威であることを忘れてはならない。
 
 世界保健機関(WHO)は、感染した人や豚の体内でウイルスの遺伝子が変異し、新型インフルエンザが発生する事態を警戒している。万一、変異すれば爆発的な流行を引き起こしかねない。
 
 韓国では夏にも鳥インフルエンザの発生が確認されており、ウイルスが常在化した恐れもある。警戒をより一層強めたい。