今年は日本にとって、地球温暖化対策への姿勢が問われる年になりそうだ。
 
 超大型台風の発生や干ばつなど異常気象が世界各地で起きており、太平洋の島国では海面上昇の影響により、国土が浸食されつつある。
 
 温暖化による深刻な悪影響を避けるため、人類に許される二酸化炭素(CO2)の排出量は残り1兆トンだという。
 
 排出増加に歯止めがかからなければ、今世紀末には世界の平均気温は4・8度上昇し、産業革命以来の海面上昇は1メートル近くに達する。
 
 温暖化対策の効果的な国際枠組みづくりを急がなければならない。
 
 その成否が懸かるのが、今年末、パリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)だ。先進国だけに排出削減を義務付けた京都議定書に代わり、全ての国が参加する新たな国際枠組みの合意を目指す。
 
 昨年末、ペルーであったCOP20で、各国が温室効果ガス削減目標を報告する基本ルールで合意したのは一歩前進だった。
 
 各国は2020年以降の温室効果ガスの削減目標案を自主的に定め、準備ができた国は3月末をめどに条約事務局に提出する。最終的には10月末までに各国の報告内容をまとめる。
 
 会議では、先進国が全ての国に平等な内容になるよう訴えたのに対し、途上国が先進国との差を設けるよう主張したことから、骨抜きになった課題もあった。中国などの反対で、削減目標の妥当性や公平性を相互に検証する事前評価が事実上なくなったのもその一つだ。利害を乗り越えなければ、十分な削減効果は期待できまい。
 
 温暖化対策に積極的な欧州連合(EU)は昨年10月、30年までに温室効果ガスの排出量を、1990年比で少なくとも40%削減するという目標を定めた。
 
 続く11月には、排出量世界2位の米国が、温室効果ガス排出量を25年までに05年比で26~28%削減する新目標を発表。1位の中国もCO2の排出量を、30年ごろをピークに減少させる目標を示した。
 
 世界全体の温室効果ガスの3分の1を占める二大排出国が前向きな目標を示したことは、評価してよい。
 
 一方、日本は5位の排出国でありながら、削減目標の議論が遅れ、提出する時期の見通しも立っていない。東日本大震災による福島第1原発事故の影響で、温室効果ガスの排出量に大きな影響を与える原発などの電源構成が決まらないためだ。
 
 COP20では、望月義夫環境相が日本の削減目標について、「できるだけ早期の提出を目指す」と従来の政府方針を述べるにとどまった。
 
 EUなどからは日本の早期提出を強く求める声が上がっており、対応が急務である。
 
 日本が削減目標を示すためには、まず、電源構成比率を定める必要がある。
 
 自民党は、原子力政策・需給問題等調査会で電源構成比率の議論を始めたが、議員からは「原発再稼働の状況を見ずに議論ができるのか」などの発言があり、難航も予想される。
 
 日本は先進国の一員として削減に向けた議論をリードする立場だ。その自覚を持って、早く世界が納得する目標を示すべきである。