恐れていた事態が現実になってしまった。

 過激派「イスラム国」とみられるグループが、身代金2億ドル(約235億円)を支払わなければ「日本人2人を殺害する」と予告するビデオ声明をインターネット上に流した。

 拘束されているのは、民間軍事会社経営の湯川遥菜さんとフリージャーナリストの後藤健二さんの可能性が高い。

 人質を取って金を要求する卑劣な行為に強い憤りを覚える。

 中東歴訪中の安倍晋三首相はイスラエルで会見し、2人の即時解放を強く求めた。政府は中山泰秀外務副大臣をヨルダンに派遣するとともに、外務省に緊急対策本部を立ち上げた。

 難しい交渉となるが、2人の無事救出を最優先することは言うまでもない。関係国とも連携して、早期解決に全力を挙げなければならない。

 シリア内戦で急速に台頭したイスラム国は、敵対者への容赦ない行動で世界の脅威となっている。米英の記者ら5人を殺害し、その映像を公開するなど残虐さが際立っている。

 声明では「イスラム国から8500キロも離れていながら、自発的に十字軍に参加した」と欧米の対イスラム国政策に向けての日本の協力を批判した。

 首相は先に中東への経済支援のうち、2億ドルをイスラム国対策として供与すると表明した。それを指している可能性があるが、非軍事分野での支援であり、非難を受ける覚えはない。

 1977年のダッカ日航機ハイジャック事件では、超法規的措置として多額の身代金を支払った。今回、イスラム国に金を渡せば新たなテロを生む資金となり、海外から非難を浴びる恐れもある。

 したたかで粘り強い交渉が求められる。