高校3年生の教室で、18歳になって選挙権のある生徒と17歳の生徒が机を並べ、政治について考える。そんな日が来そうだ。

 自民、公明、民主などの与野党は通常国会で、「20歳以上」の選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公選法改正案を成立させる方針だ。

 海外では米国、ドイツ、中国など選挙権を18歳以上とする国が主流で、日本も「世界標準」に追い付く。未来を担う若者が早くから有権者としての意識を養い、政治への関心を高める意義は大きい。

 2016年夏の参院選からの適用を目指している。総務省によると、18、19歳の約240万人の未成年者が有権者となる。まずは、対象となる年代の教育、啓発をしっかりと行うことが大事だ。

 文部科学省は、高校3年生に有権者教育を実施するため、学習指導要領の改定などで対処する方向だ。学校での政治活動に、どう対応するかも検討課題である。

 総務省幹部は「高校時代から投票の重要性を教育すれば、将来的な投票率アップにつながる」と期待する。

 戦後最低の投票率だった昨年末の衆院選を受け、徳島新聞社が県内4大学の学生と大学院生計100人を対象に行ったアンケートでは、衆院選で「投票しなかった」と答えた学生は約7割に上った。理由として「投票日に用事などがあった」「政治に関心がないから」などを挙げている。

 一方、約3割の学生が投票した理由は「投票するのは国民の義務」「今の政治を改めたいと思った」などだ。

 1票の重さへの認識は十分とは言い難い。この世代に続くのが18、19歳の若者だ。

 選挙権年齢引き下げをめぐる本紙ニチヤンの座談会の県内高校生の意見も興味深い。「友達同士で政治の話をする機会が増えるから、その分投票率が上がる」「下げるなら授業や講義で政策を分かりやすく説明などしないと意味がないと思う」。不安や戸惑いはあろうが、政治への疑問をぶつけ合うことが重要だ。

 社会の在り方や問題点を学ぶうち、政治に求めるものが見えてくるだろう。

 公選法改正案は昨年11月、与野党7党が衆院に提出したが、解散・総選挙で廃案になったため、再提出される。

 各党が合意する過程では、成人年齢を20歳にしたままで、選挙年齢を引き下げるのは時期尚早だとの意見もあった。それだけに、混乱のないよう各方面への周知徹底を図った上で、スタートさせなければならない。

 改正案の付則には、18、19歳の未成年者が買収など連座制が適用される重大な違反を犯し、選挙の公正確保に支障を及ぼす場合には原則、検察官送致(逆送)とする内容が盛り込まれる。

 未成年者であっても、選挙に関する法律の知識が求められる。

 公選法改正には、安倍晋三首相が意欲を示している憲法改正に向けた環境整備の意味もある。与野党は引き下げに併せて、改憲に必要な国民投票の投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法改正にも着手する方針だ。

 若者たちは、国の針路選択に重い責任を負うことになる。国会は審議を通じて、さまざまな問題点を洗い出しながら、国民に説明責任を果たしてもらいたい。