大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が看板政策に掲げる大阪都構想の是非が、住民投票で大阪市民の判断に委ねられる見通しとなった。

 都構想では、府市の二重行政を解消するため、大阪市を中核市並みの権限を持つ特別区に分割し行政機能を再編して、大阪府から「大阪都」に移行する。2017年4月の実現を目指している。

 大阪府市の法定協議会は、橋下氏が提出した都構想の協定書(制度案)を、大阪維新と公明党の賛成多数で決定した。2月の府市両議会でも公明党の賛成を得て協定書は承認される見込みだ。

 5月17日に予定される住民投票で、大阪市民の過半数の賛成があれば、都構想は実現に向かう。

 大阪の未来を左右する大改革である。市民は重い選択を迫られるだけに、住民投票は急ぎ過ぎの感も否めない。

 都構想では、大阪市の24行政区を東、南、北、中央、湾岸の5特別区に再編する。各区の人口は中核市並みの約35万~70万人で、区長と区議は公選される。

 市の業務で、大阪維新が府市による二重行政と指摘する大規模開発や観光振興、経済成長戦略などの広域分野は「大阪都」が担当する。

 一方、特別区は地域の実情に応じた行政サービスを行う。水道や国民健康保険などの事業は特別区が共同運営する一部事務組合を新設し、実施する。

 無駄をなくすことに異論はない。問題はその効果だ。

 大阪維新は、二重行政の解消で年4千億円の財源を生み出せると主張していたが、府市の試算では年平均155億円程度にとどまるようだ。

 一方、区庁舎建設など制度移行に当たっての初期コストは600億円規模とされる。

 橋下氏の「大阪にふさわしい広域行政体と基礎自治体をつくる」との言い分は理解できる。だが、自民党は「都構想には財政的メリットがない」などと批判している。

 構想の効果はもちろん、マイナス面も含めて、市民に十分周知しなければならない。

 協定書は昨年7月の法定協で大阪維新が単独で決定したが、府市両議会では自民党や公明党の反対で否決された。 今回、微修正された協定書が府市両議会で承認されるのは、公明党が「住民投票で決着をつける」との姿勢に転換したためだ。

 昨年末の衆院選で、都構想を掲げる維新の党が府内の比例で第1党になったことなどが、公明党の大阪維新との関係修復の背景にあるようだ。

 公明党は協定書の内容には反対しており、住民投票では自民党などと連携して否決を目指すが、一連の行動は分かりづらい。市民への説明を求めたい。

 橋下氏は住民投票で反対が多数の場合には、12月の市長任期を満了した上で「政治家を辞める」と明言した。

 いずれにせよ投票結果は大阪を揺るがすだろう。それだけにオープンな論議が必要だ。橋下氏が都構想で「報道機関の取材に『無理だ』などと個人の感想を述べないように」と、市幹部を集めた会議で指示したのは残念だった。

 東京一極集中で関西は地盤沈下し、大阪府も大阪市も発展に向けた改革が必要だ。

 だからこそ拙速を慎み、構想をよく検証した上で住民投票を行うことはできないか。