日本を訪れる外国人旅行者が飛躍的に増えている。政府観光局の推計によると、昨年は1341万3600人で、過去最多だった前年を約300万人上回った。

 観光客増加は交通、宿泊、飲食、菓子や工芸品といった土産物の製造・販売など、幅広い業界の活性化につながる。受け入れ態勢を整え、訪日客を着実に伸ばしたい。

 円安で日本での買い物や宿泊の費用が割安になっていることが追い風だ。格安航空便の就航や、東南アジアの観光ビザ緩和の効果も大きい。

 国・地域別でみると、トップが台湾(282万9800人)で、韓国(275万5300人)が続く。3位は中国(240万9200人)で、前年から83%も増えた。

 中韓両国と日本は沖縄県・尖閣諸島や歴史問題をめぐって関係が冷え込んでいる。訪日客が人情や礼儀正しさに触れ、真の日本に理解を深めてほしい。習慣の違いでトラブルもあるようだが、関係改善に結び付くはずである。

 政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に2千万人とする目標を立てている。それには、為替レートが変わっても訪れる日本ファンの拡大が欠かせまい。

 訪日客の宿泊地は今、東京-京都-大阪間の「ゴールデンルート」に集中している。これを地方に広げ、徳島にも呼び込むことが求められる。

 県内の外国人宿泊者は3万2310人(13年)で、全国44位にとどまっている。

 県は本年度中に策定する次期観光振興基本計画(15~18年度)で、18年度は8万人に増やす目標を掲げる。実現には知恵と行動力が必要だ。

 方策の一つは、徳島を含む周遊ルートの創設だろう。

 中部・北陸地方の9県が伊勢神宮、松本城、金沢市などを巡るルートを設定し、成果を上げている。国も、複数の自治体が周遊ルートを創る取り組みを支援する事業を、補正予算に盛り込んだ。

 県は、四国3県や関西の府県と組み、外国人が求めるさまざまなルートを提示すべきではないか。

 関西空港や高松空港から入った外国人に、徳島の美しい自然、伝統文化に触れ、アニメイベントや郷土料理を楽しんでもらいたい。われわれが見慣れた風景や日常の暮らしも観光資源になり得よう。

 イスラム教の戒律に対応した食品を示すハラール認証は他国の文化を尊重するいい取り組みで、普及させたい。

 大切なのはお接待の心だ。温かく迎えれば、リピーターの増加を招く。交通マナーは改めなければならない。迷った車が車線変更するのを妨げたり、すぐにクラクションを鳴らしたりする場面に遭遇すれば、徳島の印象を損なう。

 大都市に偏っている免税店も増やしたい。昨年10月から消費税の免税対象が医薬品や化粧品を含む全品目に拡大された。これを受け、県内でも免税店が昨年4月の2店舗から10店舗に増加したが、まだ少ないといえる。

 多言語の観光パンフレットや食事メニュー、案内標識の設置も進め、時刻表も分かるように改めるなど、訪日客の利便性を高めることが大切だ。無料公衆無線LAN環境の整備も不可欠だろう。

 観光振興は地方創生の重要な要素だ。徳島の魅力に自信を持ち、官民挙げて国内外に積極的に売り込みたい。