徳島県が新年度の当初予算案を発表した。4月の知事選を控え、義務的経費を中心とした骨格予算として編成されたため、一般会計は約4409億円と、本年度当初の92%にとどまった。政策的事業の多くは、6月県議会に補正予算として提案される。
 
 骨格とはいえ、南海トラフ巨大地震などに備える県土強(きょう)靱(じん)化に、東日本大震災直後の2011年度当初予算の2倍となる140億円を確保した。昨年4月の消費税増税後の景気回復の遅れなどを踏まえた経済・雇用対策には717億円を盛り込んだ。
 
 地方消費税や企業収益回復による法人事業税の増加を見込んだ積極予算といえよう。前回知事選前の11年度当初より170億円多いことからもうかがえる。
 
 災害対策で目を引くのは、昨年被害が相次いだ豪雨・豪雪対策の強化である。
 
 台風11号で甚大な浸水被害が発生した那賀町和食・土佐地区で、那賀川の堤防整備に着手する。5年かけて2キロ間で整備するが、再発防止のために急務だろう。
 
 昨年12月には三好市、東みよし町、つるぎ町で大雪によって876世帯1550人が孤立した。県西の市町や関係機関が孤立に備えた訓練などを行うが、今回と同様の災害があった場合に反省を生かせるか、成果が問われる。
 
 地震対策として、災害医療力を強化する。発生直後、3週間後、2~3年後と状況やニーズが変化する中で、継ぎ目のない医療が提供できるよう、災害医療の人材育成や応援体制整備に取り組む。避難所の環境も向上させる。
 
 東日本では、避難長期化のストレスによる体調悪化や自殺などの震災関連死が3千人を超えた。地震や津波で助かった命を失わせてはならず、教訓を生かすべきだ。
 
 「地方創生」へ向け、人口減対策に力を入れるのは当然だ。県内への移住を促進させる事業などをちりばめた。
 
 一つは、企業が本社機能を県内に移転する場合の経費を補助する事業の拡充だ。豊かな自然、恵まれたブロードバンド環境をアピールし、何としても結果を出したい。

 県内ではサテライトオフィスの進出で人口の「社会増」につながっている自治体もある。この動きを広げることは可能なはずだ。規模が大きい製造業の本社誘致にも努めるべきである。

 放課後児童クラブ(学童保育)拡充などの子育て支援で女性が働きやすい環境づくりも進めたい。
 
 県財政は、借金返済が進んで健全化に向けて展望が少し開けてきたが、厳しいことに変わりはない。
 
 収入に占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率は本年度20・1%で、県債の発行に国の許可が必要な起債許可団体から脱していない。
 
 県債の残高は本年度末で約9千億円になる見通しだ。元利償還金が交付税措置される臨時財政対策債を除いても約5800億円と、まだ県の年間予算を上回る。
 
 県政には課題が山積しており、求められる事業は多い。だが、人口減や高齢化が進む状況を考えれば、選別するしかない。限られた財源を有効に使う知恵が必要である。
 
 12日開会の県議会では、予算に無駄はないか、他に優先すべき事業はないか、厳密に点検してもらいたい。