徳島県は、県動物愛護管理センターで保護している犬を、県民に災害救助犬として育ててもらう取り組みを始める。

 南海トラフ巨大地震など大規模災害に備えて、4匹しかいない県内の救助犬を増やすとともに、殺処分される運命の犬が活躍することで動物愛護精神を啓発する。

 都道府県が主体となり、救助犬を育成するのは初めて。防災と動物愛護の一石二鳥を狙った意欲的な取り組みであり、大いに期待したい。

 災害救助犬は倒壊した家屋の下敷きになったり、土砂に埋もれたりした人を見つけるように訓練されており、東日本大震災や昨夏の広島土砂災害でも活躍した。

 盲導犬や聴導犬と違って、救助犬は特に犬種を限定されない。広島では、殺処分寸前の捨て犬だった雑種「夢之丞」が地元NPO法人に救助犬として育てられ、土砂災害現場で行方不明者を捜索した実績もある。

 県は保護している犬の中から適性のある2匹を選び、公募で選ばれた2人に譲渡する。既に4人から応募があった。

 飼い主は月に1回程度、板野町にある訓練所で犬に訓練を受けさせる。期間は1年間で、費用は寄付金で賄われる。

 犬が実際に災害現場で活躍するには、被災地との連絡調整も欠かせない。実りある取り組みとするには、訓練終了後も県が情報提供などの支援を継続することが求められる。

 県内で殺処分される犬は毎年1千匹を超えている。2匹とはいえ、命を救えるのは何よりだ。ゆくゆくは枠を広げたい。

 初の試みであり、試行錯誤を重ねながら、県民も一緒になってより良い制度に育てたい。

 徳島にも第二の夢之丞が誕生することを願っている。