ウクライナ紛争の収拾を目指すロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4首脳が15日からの停戦で合意した。

 これを受け、紛争当事者であるウクライナ政府と親ロシア派武装組織の双方が、停戦ラインから重火器を引き離し、幅50キロ以上の緩衝地帯を創設するなどとした合意文書に署名した。

 昨年4月に始まった紛争は、多数の市民を巻き込み、死者は約5500人に上っている。

 今回、協議が決裂すれば、米国がウクライナへの武器供与に踏み切り、米ロの代理戦争に発展しかねない状況だった。最悪の事態はひとまず避けられたといえよう。

 ただ、昨年9月に行われた停戦合意は1カ月もたたずに破綻している。予断は許されない。

 対立の火種は残っているが、犠牲者をこれ以上、増やさないためにも、紛争当事者と関係国は合意を誠実に守り、真の和平につなげなければならない。

 収拾の鍵を握っているのはロシアである。プーチン大統領は否定しているが、ロシアは親ロ派を支援するため、ウクライナ東部に軍を送っているとされる。

 4首脳による協議が始まる前後にも、兵士や戦車を侵入させたと伝えられた。

 前線では停戦合意後も戦闘が続いている。親ロ派は昨年の停戦合意以降、約600平方キロを新たに支配地域とし、それをウクライナに追認するよう主張している。

 力で現状を変え、既成事実化することは認められない。

 ロシアは速やかに軍を撤退させ、親ロ派に戦闘をやめさせるべきだ。

 国際社会もロシアの動きを注視し、経済制裁などの圧力をかけ続ける必要がある。

 合意文書では、欧州安保協力機構(OSCE)が停戦監視に当たるとしている。

 OSCEの監視団はこれまで十分に機能してこなかった。外国部隊や雇い兵を確実に撤退させ、緩衝地帯が設けられるよう、人員増などで体制を強化してもらいたい。

 懸念されるのは、高度な自治権を意味する「特別な地位」を親ロ派支配地域に与えるとした合意文書をめぐり、解釈の違いがあることだ。

 ロシアと親ロ派は「実質的な分離独立」だとし、ウクライナは単なる「地方分権」にすぎないとしている。

 ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止を狙うロシアは、直接コントロールできる親ロ派支配地域をウクライナ内に残したいのだろう。

 その上で大幅な脱中央集権化を実現し、親ロ派を通して内政・外交に強い影響力を確保しようとの思惑があるとみられる。

 一方、ウクライナとしては主権と領土の一体性を守らなければならない。対応を誤れば国民の反発が強まり、ポロシェンコ大統領の立場も危うくなりかねない。

 ドイツのメルケル首相が述べたように、ウクライナ紛争は軍事的には解決できず、粘り強く協議を進めるしか道はないだろう。

 ロシアとの関係を保っている日本や、地域の安全が懸かる欧州連合(EU)など、国際社会の役割は重要だ。双方が納得できる妥協点を見いだせるよう、話し合いの環境づくりに努めていきたい。