衆院議長の諮問機関で、有識者による「衆院選挙制度に関する調査会」は、小選挙区議席の都道府県への配分について、現行に比べて人口比をより反映する「アダムズ方式」を軸に検討を進める方針を決めた。年内に答申をまとめる。

 小選挙区の現定数295議席を前提にした場合、「9増9減」となる。東北や九州で減った9議席のうち、7議席が東京など首都圏の1都3県に割り振られ、「首都圏集中」が一層進む。残る2議席は愛知など東海2県に配分される。

 都道府県への議席配分は選挙制度の根幹である。答申の取りまとめに向けて、議席が減る地方の意見にも十分耳を傾け、慎重に議論を積み重ねるべきだ。

 調査会は昨年9月の議論開始以降、議席配分に関して9種類の方式を比較した上で、アダムズ方式を含む2案に絞って議論を続けてきた。

 アダムズ方式は米国の第6代大統領アダムズ氏が提唱したとされる議席の配分方式。都道府県人口を一定の数で割り、その計算結果をベースに議席数を決める。

 司法が「1票の格差」に関して、憲法違反かどうかを判断する際の目安となる2倍未満へ是正が見込める上、都道府県の現行議席数からの変動が比較的少ないことが利点とされる。

 導入すれば、都道府県間の格差は現在の1・788倍から1・598倍に縮小する。

 現行の「1人別枠方式」は、各都道府県にまず1議席を配分し、残りの議席を人口比例で割り振っているが、最高裁判決で「1票の格差」の原因だと批判され、撤廃が決まっている。

 「1票の格差」をめぐっては、最高裁は最大格差が2倍超だった2009年と12年の衆院選を、いずれも「違憲状態」と判断した。

 司法において投票価値の平等を重視する傾向が強まる中、「0増5減」のような小手先の見直しが限界に来ているのは明らかだ。

 「0増5減」では、徳島県の小選挙区は3から2に減った。少子化や都市への流出で人口減少に歯止めがかからない中、人口により比例した配分となれば、徳島など地方は将来、さらに議席が減る恐れがある。

 国会に地方の声が届きにくくなれば、大都市との格差がますます広がりはしないか。そんな懸念は拭えない。

 調査会の議論するテーマは、1票の格差是正のほかにも「現行の小選挙区比例代表並立制の評価」「議員定数削減」「選挙制度の抜本改革」がある。

 テーマはそれぞれ密接に関わっており、定数削減の規模によって議席配分も大きな影響を受ける。

 投票価値の平等は、選挙制度改革の唯一の基準ではない。具体的な議席配分は、選挙制度全体を見直す中で議論されるべきである。

 定数削減は消費税増税に伴う「身を切る改革」として自民、公明、民主の3党が3年前の秋に合意したものの、棚上げされたままだ。現行の小選挙区比例代表並立制の評価も大きく分かれている。各党とも意見がまちまちで、歩み寄れないでいる。

 民主主義を支える選挙制度の改革は、国民を巻き込んでの議論が求められる。