経済産業省の有識者委員会は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく新年度の太陽光発電の価格を3年連続で引き下げる案を了承した。今月中に正式決定される。

 家庭中心の出力10キロワット未満では、四国電力などの管内は2014年度より2円安い1キロワット時当たり35円に。主に企業が参入する出力10キロワット以上は3円下げて29円となる。事業者への優遇措置がなくなる7月からは27円に下がる。

 太陽光が20円台になるのは初めて。

 太陽光発電をめぐっては、経産省が昨年12月、電力会社が発電を抑制しやすいように固定価格買い取り制度を抜本的に見直した。

 価格引き下げで電気料金への上乗せ負担が軽減される利点はあるが、事業者の採算が悪化するのは確実だ。

 再生エネの普及に急ブレーキがかかる懸念は拭えない。

 12年7月に導入された固定価格買い取り制度は、電力会社に発電された全量を買い取るよう義務付けており、再生エネの普及に一定の効果を挙げたといえよう。

 問題は買い取り価格が高く、設備が比較的簡単な太陽光に事業者の参入が殺到したことだった。昨年秋の時点で、政府が認定した再生エネ設備容量の約96%を太陽光が占めている。

 このままでは電力の需給バランスが崩れて停電の恐れがあるとして、四電などで昨年秋、新規契約を一時中断する動きが広がった。

 この事態を受けて経産省は、電力会社が事業者に補償金なしで発電の抑制を、無制限で要請できるように制度を見直した。

 補償金なしで売電できない期間が増えると収入が減るため、参入を諦める事業者も出てくるだろう。試算では、四電の場合、太陽光の発電抑制は最大で32・2%になる。

 太陽光への極端な偏りの是正は必要だが、わずか2年で普及の原動力とされた全量買い取りを転換した経産省の責任は重い。

 制度変更がたびたび行われれば、民間企業は事業計画が立てづらくなり、参入意欲がそがれる。制度設計は慎重かつ緻密であるべきだ。

 太陽光は晴天なら効率よく発電できるが、天候に左右されやすいなど、再生エネはそれぞれに長所と短所がある。課題である安定性を高めるには、それぞれをバランスよく育てる必要がある。

 今回、太陽光の価格は下げたが、風力や地熱の価格は高めに据え置いたのは、当然の判断だ。

 ただ、風力や地熱は環境への影響調査に手間が掛かり、発電設備は複雑で初期投資も大きい。価格の据え置きだけでは、普及を後押しするのは不十分である。

 政府が昨春、閣議決定したエネルギー基本計画は、原発依存度を可能な限り低減させる一方、再生エネの導入を最大限加速させるとの方針を明記した。

 だが、買い取り制度の破綻で、再生エネが失速するのを尻目に、原発は再稼働に向けて急速に息を吹き返しているのが実態だ。

 東京電力福島第1原発事故から間もなく4年。国民の原発への不信は根強い。温暖化対策のためにも、原点に立ち返って再生エネを着実に普及させなければならない。