東京電力福島第1原発事故の除染で出た福島県内の廃棄物が、中間貯蔵施設建設予定地内の保管場に初めて搬入された。

 原発事故から4年を経て、ようやくである。しかし、今回始まったのは試験的な搬入にすぎず、施設の着工や本格稼働がいつになるかは見通せていない。

 政府は搬入を受け入れた地元の苦渋の決断を重く受け止め、用地取得など課題の解決に向けて、誠実に取り組まなければならない。

 県内の除染で出る汚染土壌や廃棄物は最大2200万立方メートルと、東京ドーム18杯分に上るとみられている。

 中間貯蔵施設はそれらをまとめて保管するもので、大熊、双葉両町にまたがる第1原発の周辺の土地を政府が取得し、建設する。

 面積は羽田空港に匹敵する約16平方キロ、保管できる量は約3千万立方メートルに上り、総工費約1兆1千億円をつぎ込む巨大プロジェクトだ。

 その成否が、福島再生の鍵を握っているといっても過言ではない。

 除染が進むにつれて県内各地にたまり続ける廃棄物が、避難者の帰還をためらわせるなど、復興の妨げになっているからだ。

 廃棄物を詰めた袋にシートをかぶせるなど、ある程度の対策が取られている仮置き場は県内に約1千カ所ある。だが、これでは足りず、学校や民家の軒先などでの「現場保管」が昨年12月時点で約8万6千カ所にも上っているのが実情だ。

 その現場保管も、3カ月前に比べて1万1千カ所以上増えている。置き場所の余裕はなくなりつつあり、確保できなくなれば除染作業も止まる恐れがある。

 施設の建設が急がれるが、最大の課題は用地取得である。地権者は大熊、双葉両町で約2400人もおり、交渉はほとんど進んでいない。

 住み慣れた古里を捨てる地権者の不安は、計り知れないものがある。抵抗が強いのは当然だろう。

 売却のほかに賃貸の方法を選べるものの、施設が最終処分場になるのでは、との懸念も根強い。

 政府は用地交渉に当たって、原発事故で大きく下がった価格を基準に進める方針を示しているが、見直しを検討すべきではないか。

 何より重要なのは、誠意を持って対応することだ。

 政府は今回の搬入開始の目標を、安倍晋三首相の視察に合わせたり、東日本大震災4年目の今月11日に設定したりするなど、日程にこだわり続けた。

 これに対して、地元からは「日程ありきで説明不足」「国のメンツを守るためのセレモニーにすぎない」といった批判が出た。

 3月11日は被災地にとって鎮魂の日であり、静かに過ごしたいと願う被災者は多い。そうした思いに寄り添い、信頼を醸成しなければ交渉は進まない。

 政府は福島県と両町の求めに応じて、30年以内に県外の最終処分場に廃棄物を搬出することを法制化した。起点は搬入の日であり、秒読みは始まっている。

 最終処分場の場所選定と建設に重い責任を負うのは政府である。難航が予想されるだけに、早期に取り掛かる必要がある。