政府の特定秘密保護法の運用をチェックする衆参両院の「情報監視審査会」の初会合が、それぞれ開かれた。

 委員選任などの与野党調整が難航し、法施行から3カ月余りが過ぎて、ようやく国会の監視体制が始動した。

 恣意的な秘密指定などを監視する審査会の役割は重い。

 審査会は政府に特定秘密に関する情報の開示を求め、必要に応じて改善を勧告する。

 ただ、国家の安全保障に著しい支障を及ぼすような情報は開示されない上、審査会が不適切な秘密指定を解除するよう勧告しても、政府には従う義務がない。そんな仕組みで、実効性ある監視機能を発揮できるのか。

 衆参とも委員は与野党の各8人で、議席数に応じて配分された。衆院は自民党が5人で、民主党、維新の党、公明党が各1人。参院は自民党が4人、民主党が2人、公明党、維新の党が各1人だ。

 初会合では、各委員が取り扱う秘密を外部に漏らさないことを宣誓した後、審査会長を互選した。

 審査会は、委員の過半数の反対で解除勧告案を否決できる。衆参とも与党委員が過半数なのに、政府へのチェックが果たせるのかという疑問がわくのは当然だろう。万が一にも、国会が特定秘密の追認機関になってはならない。

 特定秘密の指定は、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野55項目が対象で、外務省、防衛省など19行政機関が行う。法施行から昨年末までに、10行政機関の計382件が指定された。

 秘密保護法は、政府に秘密の指定と解除の状況を毎年1回、国会に報告するよう義務付けており、5月にも報告書が国会に提出される。特定秘密の具体的内容は示さず、4分野の計55項目ごとに件数を提示するとみられる。

 審査会はこの報告を受けて開かれ、秘密指定の妥当性を調査する。審議も開催場所も非公開の秘密会だ。国民の目は届かず、委員には公正さを保つ強い自覚が求められる。

 秘密指定の監視機関は他にもある。政府は事務次官級の「内閣保全監視委員会」(委員長・上川陽子法相)と、「独立公文書管理監」を設置。管理監には検事出身の法務官僚を充てた。

 しかし、監視委と管理監は「特定秘密を含む資料の提出や説明、是正を求める」と規定されているだけで法的強制力はない。そもそも、身内による監視に、どれだけの効果が期待できるだろうか。

 秘密指定の期間も問題だ。原則は最長30年だが「安全保障上やむを得ない」場合は60年まで延長できる。「外交交渉に不利益を及ぼす恐れがある情報」を含む7項目は半永久的に指定することも可能だ。

 これでは、政府に都合の悪い情報が封印されかねない。

 秘密保護法では、公務員や防衛産業の従事者が外部に特定秘密を漏らした場合には、懲役10年以下の罰則が科される。共謀や教唆、扇動は懲役5年以下の罰則だ。外交などの情報を得ようとした記者や一般市民も処罰の対象になる可能性がある。

 何が秘密指定されているのか、分からないのにである。

 公務員らが報道機関への情報提供をめぐって萎縮する恐れは十分ある。国民の知る権利が損なわれるとの批判は根強い。問題の多い秘密保護法の撤廃をあらためて求める。