中国の主導で設立する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に、50を超える国・地域が参加する見通しになった。

 日本と米国は、創設メンバーとなる期限の先月末までの参加表明を見送った。

 米国主導の国際金融体制を支える日本は、AIIBに参加しにくい立場だ。組織運営の透明性確保に疑問があるのも確かである。

 だが、有力な参加国が増え、日本が二の足を踏んでいる状況ではなくなってきた。機敏な対応が必要だ。

 AIIBはアジアの途上国や新興国に、鉄道や道路、発電所などの建設資金を融資するのが目的で、年内の設立を目指す。中国がAIIBを海外進出戦略の一環に位置付けているのは、明白である。

 オバマ政権は、中国の動きを「米国が主導する多国間制度に挑んでいる」と警戒を隠さない。

 AIIB参加に慎重な日米は、関係が深い国に参加しないよう水面下で働き掛けた。

 だが、先進7カ国のうち英国、ドイツ、フランス、イタリアの4カ国のほか、オーストラリア、韓国など米国の同盟国が参加する。東南アジア諸国連合の全10カ国や新興国のインド、ブラジル、ロシアも含まれている。

 欧州諸国などはアジアとの貿易、投資が活発になるのを期待しているようだ。さらに参加国は増えそうである。

 AIIBの求心力の大きさは日米にとって誤算だった。

 政府・自民党内に、日本の国際的孤立を懸念する声が出てきたのは当然だろう。

 産業界が、不参加により日中関係や日本企業のインフラ輸出に悪影響が生じるのを恐れるのも、無理はない。

 参加国は6月末までの協議で、組織運営のルールや出資比率の合意を目指す。

 資本金は当初計約500億ドル(約6兆円)とし、その後1千億ドルに増額する。出資比率は国内総生産(GDP)の規模に応じて決める。最大の出資国となる中国の発言権が強くなるのは避けられまい。

 一方、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)には67カ国・地域が加盟し、途上国の貧困対策、インフラ整備に力を入れてきた。歴代総裁を日本人が務めている。

 同様の投資銀行が二つもいるのかという疑問もあるが、アジアでは2010~20年に8兆ドルのインフラ投資が必要とされる。

 日本がインフラ整備などでアジアの発展に果たす役割は極めて大きい。両機関の役割分担も視野に入れながら、いま一度、参加の是非を検討してもよいはずだ。

 麻生太郎副総理兼財務相は「(参加を)検討する余地はゼロではない」との認識を示した。融資の決定権の在り方など、組織の公正な運営が確保されるか見極める構えだ。

 熟慮するのも大切だが、日本が後発の参加国になり、不利益を被ることがあってはならない。