徳島空港(松茂町)に着陸しようとした羽田発の日本航空455便が、滑走路上で作業中の車両に気付き、着陸をやり直すトラブルがあった。
 
 管制を担当する海上自衛隊徳島教育航空群の管制官が車両への退避指示を出し忘れた上、目視による確認をせずに着陸許可を出したのが原因とされている。
 
 455便には乗客乗員67人が乗っており、あわや大惨事となるところだった。
 
 管制官は「指示を出すのを失念していた」と話しているが、うっかりミスでは済まされない。
 
 航空機事故は、一度起きれば多数の人命を奪う危険性が高い。安全対策は何重にも構える必要がある。
 
 なぜこうした事態が起きたのか。航空群は原因を徹底的に究明し、再発防止に取り組まなければならない。
 
 通常は管制官4人が、地上や空港周辺の目視と離着陸の指示などの航空管制業務を分担している。
 
 ところが、トラブル発生時、管制室には1人しかおらず、他の3人は管制塔内で別の作業をしていたという。内規では、航空機の発着状況によっては1人の対応も認めているからだ。
 
 内規の妥当性についても、検証するよう求めたい。
 
 副操縦士が目視で発見した時には、車両は2500メートルの滑走路の手前の端から約千メートル離れた場所に止まっていた。
 
 着陸直前の旅客機の速度は通常、時速約200キロといわれる。最悪の事態は、パイロットの好判断によって間一髪で回避されたのである。
 
 だが、もし悪天候で視界が悪ければどうなっていたのだろうか。そう考えると、背筋が寒くなる。
 
 455便は主翼の付け根付近の「主脚」のタイヤがいったん滑走路に接地した後、再上昇した。
 
 障害物が原因で、旅客機が接地後に再上昇するケースはめったにない。
 
 国土交通省は、事故につながりかねない「重大インシデント」と認定。運輸安全委員会は原因究明のために航空事故調査官2人を徳島空港に派遣し、きのうから調査を本格化させている。
 
 車両は航空群から委託を受けた民間業者のもので、滑走路上の距離を示す距離灯のランプが切れたため、取り換え作業中だった。
 
 業者による取り換え作業は午前10時37分~11時5分の予定で、着陸予定時刻は10時55分だった。車両は10時43分に滑走路に進入している。
 そもそも作業時間の設定に問題があったのではないだろうか。
 
 徳島空港は県民にとって欠かすことのできない空の玄関であり、利用者は年間80万人を超える。海自航空機と民間機が滑走路を共有する特殊な環境に置かれている。
 
 安全を確保し、県民の信頼を取り戻すために、国交省と航空群などは全力を尽くさなければならない。