欧米など6カ国とイランが核開発問題の包括解決に向けた枠組みに合意した。

 混迷を深める中東の大きな不安要素であるイランの核問題は、出口へ一歩前進したといえる。

 合意では、ウラン濃縮に使う遠心分離機を、現在の1万9千基から約3分の1の約6千基に減らすなど核開発を10~15年にわたって制限する。 これらの措置により、イランが核爆弾1個分の高濃縮ウランを作るのに要する時間が現在の2~3カ月から1年に延びるという。

 イランによる最終合意の履行を確認した時点で、米国や欧州連合(EU)、国連の制裁は解除される。

 今後、細部を詰め、6月末までの最終合意を目指す。実りあるものにして、地域の安定につなげてほしい。

 合意が実現すれば、ウラン濃縮活動は中部ナタンズの核施設に限定される。地下深くに造られた中部フォルドゥでの濃縮活動は認めず、研究施設に転換する。濃縮度3・67%を超えるウラン製造は少なくとも15年間凍結される。

 核関連施設は国際原子力機関(IAEA)の監視下に置かれることになる。

 核開発に大きな歯止めを掛ける措置といえよう。

 オバマ米大統領は、イランの核兵器保有を阻止する「歴史的な」合意だと強調した。

 イランのロウハニ大統領は6カ国側が合意事項を守る限り「われわれもすべての約束を守る」としている。

 外交関係が断絶した米国とイランが対話を積み重ね、核開発をめぐる難局を打開した努力を評価したい。両国の関係改善は中東の安定にとって大きな意味がある。

 問題は、最終合意へのハードルをどう乗り越えるかだ。

 合意では、肝心なIAEAの査察権限がどこまで及ぶかが明確にされていない。制裁解除に関しても「即時の完全解除」(イラン)か、「段階的な一時停止」(米国)か、解釈のずれが現れている。

 最終合意に向けた交渉は難航が予想されるが、実効あるものにしなければならない。

 イランの周辺諸国が警戒感を強めていることも気掛かりである。

 イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、合意はイランに核開発への「自由な道」を与えると批判し、「イスラエルと近隣諸国を脅かす」と危機感を訴える。

 合意では、イランは限定的ながらウラン濃縮を継続できる。潜在的な核兵器開発能力は維持されるわけだ。

 イスラエルが神経をとがらせるのも無理はない。最終合意では、イスラエルの生存権への配慮が求められよう。

 イスラム教スンニ派の親米国サウジアラビアも、対立するシーア派のイランが制裁解除で大国化するのを、脅威と受け止めている。

 中東に新たな火種と不信感を生じさせないよう、米国はサウジや周辺諸国に説明を尽くす外交努力が必要だ。