失業や病気などで生活に困っている人を助ける生活困窮者自立支援制度がスタートした。一昨年に成立した自立支援法に基づき、就労や住まいの確保を支援するために自治体が相談窓口を設けるほか、一人一人の状況に合わせて支援プランを作る。

 生活保護に至る前の段階で暮らしの再建を図る新たなセーフティーネットと位置付けられており、実効性の高い制度として定着させなければならない。

 徳島県内では、16町村を担当する県から業務を委託された県社会福祉協議会に、事業拠点となる「とくしま・くらしサポートセンター」が開設された。残りの8市も地域の社協などに委託して運営するか、独自で事業を行う。

 支援対象として国が想定しているのは心身の病を抱える人や失業者、多重債務者、引きこもり、ニートなどだ。

 自治体には自立支援のための相談窓口設置のほか、住まいのない人に家賃相当の住居確保給付金を支給する事業が義務付けられている。任意の事業として、就労準備支援や家計相談支援、子どもの学習支援なども行える。

 制度をうまく機能させるための鍵を握るのは、相談体制の充実と人材の育成である。

 とくしま・くらしサポートセンターは16町村のうち8町の社協に相談支援員各1人を配置し、近隣の2、3町村の相談を受け持つ。8市もそれぞれ相談支援員らを置く。

 孤立しがちな生活困窮者には情報が入りにくい。制度を周知徹底することがまずは重要となる。自治体は待ちの姿勢ではなく、税の滞納が把握できる部署と連携するなど、縦割り意識を捨てて、支援を必要とする人を見つけ出す努力をしてもらいたい。

 生活困窮者といっても複合的な悩みを抱えている人が多く、必要とする支援の内容は人それぞれに異なる。

 相談支援員らは民生委員やハローワーク、NPO、法律家など、さまざまな関係機関や専門家と連携を密にする必要がある。生活困窮者を支援している団体やボランティア、民間企業との連携も有効だろう。任意の事業に積極的に取り組む姿勢が全ての自治体に求められる。

 連携のネットワークが広がり、支援メニューが充実すれば生活困窮者が再チャレンジする機会が増え、地域に活力が生まれることも期待できる。一人一人に寄り添って支援する体制を整えるために、意欲やノウハウを備えた人材を育ててほしい。

 生活保護受給者は全国で200万人を超え、保護費は年間4兆円に迫る。県内の受給者も1万5千人近くに上る。

 今回の制度に対しては生活保護費の削減が狙いではないかとの批判もある。国や自治体は十分な人員の配置と予算措置によって、そうした懸念を払拭しなければならない。

 生活困窮者が安心して暮らせるよう、地域ぐるみで支える体制を築きたい。