きのうの東京株式市場で日経平均株価(225種)が一時、2万円を回復した。2000年4月以来、約15年ぶりのことである。

 1990年にバブルが崩壊して以降、長期低迷に苦しんできた日本経済は再生に向けて一歩前進したといえよう。

 この流れが徳島などの地域経済や中小企業、一般国民に広く波及するよう、経済全体の底上げを図らなければならない。

 きのうは欧米株の上昇に加え、平均株価への影響が大きいファーストリテイリング株が好決算で急伸したことから買い優先で始まり、早々に大台に乗せた。

 景気の先行指標とされる株価の上昇は明るいニュースに違いないが、喜んでばかりはいられない。

 急激な株価上昇の背景には、世界の主要な中央銀行が金融緩和を積極的に進め、市場に資金が流れやすくなっていることがある。

 金融緩和によって金利は歴史的な低水準となり、国債運用より高い利益を求める世界の機関投資家の資金が、比較的状況がいい日本市場に流れ込んでいるというわけだ。

 さらに、日銀の黒田東彦総裁が踏み切った「異次元」の大規模金融緩和で円安が進み、大企業の業績が改善したことや、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金資金による株式買い入れを政府が拡大させたことも大きい。

 日銀や公的年金が株価を下支えする「官製相場」といわれるゆえんである。

 注意しなければならないのは、金融緩和の行き過ぎには副作用があることだ。

 89年12月に株価が3万9千円に迫る史上最高値を付けたバブル経済はその典型であり、後遺症がいかに大きかったかはあらためて指摘するまでもない。

 最近では、原油市場に流れた「緩和マネー」が一気に流出し、価格が下落する事態が起きている。有り余った資金に支えられた株価上昇は、急落の恐れと常に隣り合わせである。

 官主導の株高が長く持つ保証もない。身の丈を超えたバブルが膨らみ続ければ、はじけたときの反動も大きくなるだろう。

 日本市場から緩和マネーが流出し、官製相場が息切れする前に、株価に追い付いていない実体経済を良くしなければならない。

 道半ばのデフレ脱却を確かなものにするには、賃上げの動きを大企業から中小・零細企業へと広げることにより、個人消費や地域経済を活性化させる必要がある。

 その成否は、政府が打ち出した成長戦略がどれだけ効果を上げられるかにかかっているといえよう。

 同時に、円安を演出した日銀は大規模金融緩和の出口を真剣に探り始めるべきである。株価上昇に目を奪われ、バブルへの警戒を怠ってはいけない。