徳島県知事選は、無所属現職の飯泉嘉門氏が、共産新人の古田美知代氏に大差をつけて4選を果たした。

 3回続けて飯泉氏と共産新人の一騎打ちとなった知事選は、いまひとつ盛り上がりに欠けた。事実上、与野党が相乗りした飯泉氏の勝利が早くから確実視され、「信任投票」の様相を帯びていたのも要因だろう。

 古田氏は「飯泉県政で若者の非正規率が増えた」などと批判したが、及ばなかった。

 飯泉氏の得票は3期12年間への評価を示している。飯泉氏はその信託を重く、謙虚に受け止めなければならない。

 本県は人口減少や過疎化の進行など深刻な課題に直面している。飯泉氏に4選の喜びに浸るいとまはなかろう。

 選挙戦で問われたのは、低迷する徳島の未来をどう切り開くか、そのビジョンと施策だった。

 本年度は「地方創生元年」だ。県は人口減少対策の5カ年計画(2015~19年度)となる「県総合戦略」の策定を進めている。

 県民の知恵を結集し、徳島の特性を生かした処方箋を示すことで、地域間競争を勝ち抜かなければならない。

 飯泉氏の訴えの柱も、東京一極集中の是正に向けた徳島の地方創生だった。

 飯泉氏の「一歩先の未来へ!」と訴えるマニフェストでは、七つの基本目標を掲げた。「地方回帰・加速とくしま」は、徳島ならではの「地方創生モデル」の構築や「サテライトオフィス・プロジェクト」の進化などで、大都市からの人口移動を促すとしている。農林水産業や自然エネルギーの活用などには数値目標も設定した。

 徳島新聞社の知事選に関する電話世論調査で、新知事に力を入れて取り組んでほしい政策の1位は「医療・福祉の充実」で49・1%だった。2位は「地域経済の活性化」で35・6%。「子育て支援や少子化対策」、「雇用対策」と続いた。

 徳島市など県東部への医師の偏りは依然として解消されず、アベノミクスの効果も本県では十分に実感できない。

 就労の場を確保し、若者の定住を促進しなければ、自治体としての機能の維持が危ぶまれる地域も少なくない。

 飯泉氏はこれまで以上に実行力が問われる。県民との約束を守り、マニフェストのビジョンを、「絵に描いた餅」ではなく「食べられる餅」にしなければならない。

 県議選も終わった。飯泉氏は、新メンバーを加えた県議会と車の両輪となって徳島の発展を目指してもらいたい。

 知事と県議会には、なれ合いを排して、それぞれの職責を果たすよう求める。そうすることで、知事の政策や政治姿勢をめぐる激論も生まれよう。それが県政に緊張感を生むことになる。

 4期目は飯泉県政の総仕上げの時期になりそうだ。飯泉氏の発信力と行動力を注視したい。