「1票の格差」が最大2・13倍だった昨年12月の衆院選は違憲だとした訴訟の判決が、各地で相次いでいる。

 訴訟は全国14の高裁・高裁支部に計17件起こされており、これまでに15件の判決が示された。

 「違憲」が1件、「違憲状態」が10件、「合憲」は4件と、判断は分かれている。

 「違憲」「違憲状態」という判断が11件にも上ったことを、国会は重く受け止めなければならない。

 最高裁は、最大格差2・30倍だった2009年衆院選と、2・43倍の12年選挙をいずれも「違憲状態」と判断し、格差是正を求めた。

 今回の一連の訴訟では、11年3月にあった09年選挙の最高裁判決以降の国会の取り組みが争点となった。

 最高裁判決を受けて、国会は徳島県など5県の小選挙区定数を削減する「0増5減」を実施。区割り改定時の格差は2倍未満となったが、人口変動により昨年末の選挙時には、格差が2倍以上の選挙区は13カ所に上った。

 1票の格差をめぐる訴訟では「投票価値は著しく不平等な状態か」「その状態が相当期間続き、合理的な期間内に国会が是正したかどうか」という2段階で判断される。

 「違憲」と「違憲状態」は、是正の合理的期間が過ぎているかどうかの判断が分かれたためで、現在の格差は投票価値の平等に反しているとの点では一致している。

 「合憲」判決も是正に向けての議論が進むことを前提にしており、格差の放置を容認しているわけではない。格差是正の取り組みを求めている点は、同じといえよう。

 判決は今月中に全て出そろい、最高裁は年内にも統一判断を示す見通しだ。最高裁の判決を待つのではなく、国会は是正の取り組みを加速させるべきである。

 衆院選挙制度改革をめぐっては、与野党協議では結論に至らず、衆院議長の諮問機関である有識者調査会に検討を委ねている。

 各党の意見の隔たりは大きく、答申が出ても歩み寄れるかどうかは不透明だ。

 衆院選のたびに、選挙の有効性が司法の場で争われるのは正常ではない。立法府の自覚を持ち、党利党略を超えて、改革の議論を前に進めなければならない。

 調査会は、小選挙区議席の配分方法に関し、現行に比べ人口比をより反映する「アダムズ方式」を軸に検討する方針を決めている。

 現定数295議席を前提にした場合、「9増9減」となる。主に東北や九州で減った議席が、首都圏を中心に割り振られる。

 ますます議席の大都市集中が進み、人口減少に苦しむ地方の声が国会に届きにくくなるのではないかと心配だ。

 人口比は無視できないが、地方の意見をくみ上げる仕組みを構築できないものか。そうした観点からの議論も不可欠である。