26日に投開票された小松島市議選と牟岐町長選の候補者2人が、公選法違反(現金買収、事前運動)の疑いで徳島県警に逮捕された。
 
 調べに対し、2人は自身への投票などを依頼して、有権者に現金を渡したことを認めているという。ただ、1人は容疑の一部を否認しており、詳しい犯行の経緯や動機も明らかになっていない。

 県警は事件の全容解明に全力を挙げてもらいたい。
 
 逮捕されたのは、小松島市議選で当選した井内建治容疑者と牟岐町長選で落選した元町議の丸山泰寛容疑者。井内容疑者は当選8回目、丸山容疑者も町議を5期務めたベテランだ。
 
 井内容疑者は有権者3人に5千~2万円、丸山容疑者は運動員2人と共謀して有権者3人に各1万円を渡したとされている。
 
 両容疑者の周辺からは「新人候補が出て心配だったのかもしれない」「出遅れを取り戻そうと必死だったのでは」といった声が聞かれ、選挙戦で焦りを募らせていたことがうかがえる。
 
 どのような理由があるにせよ、選挙の公正さをゆがめることは断じて許されない。現金で票を買うという、あからさまな違反行為に候補者自らが手を染めたことに憤りを覚える。
 
 今回の統一地方選は全国で無投票当選が増加し、投票率も軒並み低下した。県内でも県議選で過去最多の7選挙区で14人が無投票当選したほか、神山、那賀の両町長選も無投票だった。
 
 人口減少や高齢化に伴い地域ではさまざまな問題が顕在化し、住民が将来の生活に不安を募らせている。そうした問題の解決や地域活性化に向けて、住民に身近な市町村の首長や議員の役割はさらに大きくなっている。
 
 にもかかわらず、政治家への信頼が揺らぎ、有権者の政治離れは一層鮮明になっているのだ。今回の事件を見るまでもなく、深刻な事態と言わざるを得ない。
 
 背景には、政務活動費の不正支出や不透明な政治献金など、「政治とカネ」の問題が繰り返されている現状がある。有権者の期待に沿う議会改革も進んでおらず、政治不信の根は深い。
 
 首長や議員になる人材の枯渇が指摘されているのは、政治家に魅力がないと思われているからにほかならない。
 
 今国会では選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公選法改正案が成立する見通しだ。若者の政治への関心をいかに高めるかも社会の大きな課題となっている。
 
 汚れた選挙の一端が浮かび上がったことで、市民の政治不信に一層拍車が掛からないか心配される。
 
 候補者が現金や物で買収しようとしても、有権者が毅然と拒否すれば事件は防ぐことができる。違反を絶対に許さないという意識を持ち、候補者を厳しい目で監視することが求められる。