政治とカネをめぐる不祥事は、もううんざりだ。

 小渕優子前経済産業相の元秘書2人が、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴された。小渕氏は嫌疑不十分で不起訴処分となり、「政治的、道義的責任を痛感しています」とのコメントを出した。

 元秘書が刑事責任に問われる事態となったことを、小渕氏は重く受け止めるべきである。このまま幕引きとなることは許されない。

 小渕氏の資金管理団体は、飲食代や贈答品代といった経費を簿外で処理しており、実際の資産と帳簿上の額の帳尻を合わせるために、政治資金収支報告書に虚偽の記載を行った。

 虚偽記載の額は2013年までの5年間で約3億2千万円にも上る。

 これは紛れもない裏金だ。巨額の資金は何の目的で使われたのか。表に出せない理由は何なのか。使途に違法性はないのか。

 分からないことだらけである。地元群馬の有権者からも、真相究明を求める声が上がるのは当然だ。

 小渕氏は経産相を辞任する際、弁護士らに客観的な調査を依頼した上で、説明責任を果たすと約束している。

 まさか、閣僚を引責辞任し、その後の衆院選で当選を果たしたことで、「みそぎは済んだ」と考えているのではあるまい。

 自らが国民にきちんと説明する必要がある。同時に、政治家としての身の処し方も明らかにするべきだ。

 日本歯科医師会の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)にも、迂回献金疑惑が浮かんでおり、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した。

 日歯連は過去にも、自民党旧橋本派への1億円献金隠し事件を起こしている。

 国の補助金を受けた企業からの献金問題で、西川公也氏が農林水産相を辞任したのも記憶に新しい。

 だが、政治とカネの問題が続発しているにもかかわらず、国会の動きは鈍い。

 元秘書の在宅起訴にも、自民党内には「おとなしくしていれば、野党の追及もいずれ緩む」との見立てが大勢だという。

 「自民1強」の政治情勢が、国会から緊張感を奪ってしまったのか。国民軽視の思い上がった姿勢に、あきれるばかりだ。

 1948年施行の政治資金規正法は不祥事が起きるたびに改正を重ね、献金額などの制限が増えている。しかし、今なお不透明な資金処理は後を絶たない。

 政治家側が違法性を認識していなければ罪に問われないなどの「欠陥」が残っているからである。

 カネに絡む不祥事が発覚するたびに、国民の政治不信が増大してきた。

 これ以上「秘書がやった」「知らなかった」という釈明を繰り返させてはならない。

 国会は規正法の抜本的な改正を急ぐべきである。