出身地や応援したい自治体に寄付をすると、居住地で納める個人住民税と所得税が軽減される「ふるさと納税」への注目度がにわかに高まっている。
 
 先月から、税金が控除される上限が従来の2倍に拡大され、一定の条件を満たせば確定申告が不要となるなど手続きが簡素化されたためだ。
 
 国が進める地方創生の一環として、頑張る地方を税制面で支援しようという制度の趣旨には賛同できる。徳島県内の自治体でも寄付件数や金額が増えるよう期待したい。
 
 人気を集めている理由の一つが、寄付した自治体から贈られる特産品などの返礼品だ。多くの自治体が「ぜひわがまちに寄付を」と、コメや肉、海産物など、特色ある返礼品選びに知恵を絞っている。インターネット上には、返礼品を紹介する民間のサイトまで登場している。
 
 県内でも充実させる動きが出始めた。徳島市は本年度、従来の7種類から33種類に拡充。藍染やしじら織、阿波牛など、徳島らしさを前面に打ち出した特産品から選べるようにした。県も、5千円の寄付に対してスダチ1キロ程度を贈る現在のやり方を見直す方針だ。
 
 ふるさと納税が自治体にもたらすメリットは、単なる税収増だけにとどまらない。
 
 徳島には誇れる特産品がたくさんある。返礼品を通して徳島の魅力を全国に発信することで、ファンを増やす意義は大きい。
 
 寄付を機に「今度は観光で訪れよう」という誘客効果も期待できる。「徳島に住みたい」と思ってもらえれば、移住者の増加にもつながろう。
 
 ただ、度を越えた高額な商品やサービス、換金性の高い金券を提供するなど、一部で返礼品競争が過熱しているのは問題だ。500万円以上の寄付で純金製手裏剣を贈るという自治体もあった。「射幸心をあおるとの疑念を抱く」として中止したが、明らかに行き過ぎの例である。
 
 制度の変更によって、今後はさらに自治体間の競争が激しくなることが予想される。総務省は先月、全国の自治体に対し、過剰な謝礼を自粛するよう通知を出した。適正な競争を促すためにも当然の措置だろう。
 
 この制度は2008年、大都市圏に集中する税収の偏りを是正し、地方の収入を増やすことを目的に始まった。古里への恩返しや、好きな自治体を応援するという本来の趣旨を、国はあらためて周知徹底する必要がある。
 
 昨年度の徳島県への納税件数は、前年度より114件多い326件で過去最多となった。一方、金額は1千万円余り少ない約3278万円にとどまった。
 
 少額の寄付が増えたためとみられるが、寄付者の裾野は確実に広がっている。見返りにかかわらず徳島を応援したいという人を増やせるよう、節度を保った取り組みを求めたい。