徳島県内の市町村で、人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」の策定作業が本格化している。

 国が昨年末にまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、全ての自治体に本年度中の策定を求めているためだ。石破茂地方創生担当相は、各自治体が作った戦略の内容を評価し、来年度に創設する新型交付金の配分額を決める考えを示している。

 「国の押しつけ」との批判もあるが、地域の将来を捉え直し、有効な施策を考える機会である。新型交付金は自由度が高く、人口減少対策などに幅広く使える。自治体にとっては知恵の絞りどころだ。

 気掛かりなのは、地方創生の核となる戦略なのに、策定期間が短いことである。

 県内市町村の多くは戦略策定に向けて、庁内組織を設置。そこで原案を作成し、企業や大学、マスコミなどからなる有識者会議と、議会から意見や要望を聞いて練り上げていく。

 この手順で長期計画を作る場合、数年を要することもある。国も地方も長年取り組みながら十分成果を挙げていない難題の処方箋を、あと10カ月で打ち出せるのだろうか。

 共同通信社のアンケートでは、県内24市町村のうち「自前で策定できる」としたのは8市町にとどまり、15市町村は国や民間の支援を求めている。職員が少ない小規模自治体は、ノウハウ不足や事務的な負担の増加といった不安を抱えている。

 国は戦略策定の指南役として、中央官僚や民間のシンクタンク職員を派遣する制度を設けたが、県内で応募したのはわずか4市町で、派遣が決まったのは三好市と那賀町だけ。戦略を策定する環境が整ったとは言えない。

 そんな中、県内には10月の策定を目指し、作業を急ぐ自治体もある。国が10月末までに戦略を作った自治体に対し、昨年度の補正予算に盛り込んだ地方創生先行型交付金1700億円のうち、配分せず留保していた300億円を上乗せ交付するためだ。

 ただ、中身の濃い戦略にするには、国は策定期間に猶予を持たせるべきだろう。

 国が新型交付金の規模や交付期間を示していないことも問題だ。自治体は来年度以降の予算措置を見通せないため、思い切った施策を打ち出せないという。

 来年度予算は1700億円から上積みされるのか。新型交付金が設けられても交付税や補助金は減らされないのか。自治体の疑問に、国は早期に答える必要がある。

 徳島県は今月、関係省庁に行った政策提言で、戦略の具現化に向けた財源確保を求めた。国は地方の声にしっかり耳を傾けてほしい。

 かつての自治体の計画作りでは、民間のシンクタンクに丸投げするケースもあった。地域が活力を取り戻すためには、地域が主体となって戦略を作ることだ。その支援に国は力を注ぐべきである。