鹿児島県の口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳(しんだけ)で爆発的噴火が起きた。火砕流も発生し、海岸まで到達したが、大きな人的被害が出なかったのは何よりである。
 
 気象庁は噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から最も高い5(避難)に引き上げた。2007年の警報の運用開始以来、5に上げたのは初めてだ。
 
 気象庁は、今後も同じ程度の噴火が続く恐れがあるとしている。厳重に警戒しなければならない。
 
 噴火を受けて地元の屋久島町が全島に避難指示を出し、島民ら約130人がフェリーなどで東隣の屋久島に避難した。国や自治体は、受け入れ態勢をしっかり整えてもらいたい。
 
 避難は長期間にわたる可能性がある。火山の状況が落ち着き、戻れるようになるまで、島民の生活を支えることが重要だ。
 
 噴火はきのうの朝、突然起きた。ごう音とともに巨大な噴煙が立ち上り、島の上空を瞬く間に覆ったという。島民らは着の身着のままで高台にある避難所に駆け込み、全員の無事が確認された。
 
 屋久島町によると、島民は噴火したら高台に集まるよう訓練してきた。新岳は昔から大きな噴火を繰り返しており、最近では昨年8月に発生。今年4月からは、火山性地震が1カ月で50回以上も観測されていた。
 
 大きな混乱もなく避難できたのは、日頃の心掛けと訓練の結果といえよう。
 
 心配なのは、4年前の東日本大震災の後、日本列島で火山活動が活発になっているのではないかということだ。
 
 昨年9月に御嶽山(おんたけさん)(長野、岐阜県)で大規模な噴火が起き、死者・行方不明が計63人と、戦後最悪の火山災害になったのは記憶に新しい。
 
 箱根山(神奈川県)の大涌谷周辺でも火山活動が活発化し、先月、噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた。さらに、桜島・昭和火口(鹿児島県)では、3月に爆発的噴火が178回もあり、月間の回数としては最多を記録した。
 
 こうしたことから、漠然とした不安を抱いている国民は少なくない。油断は禁物だが、無用な心配で混乱を招かないよう、国には正確な情報を積極的に提供することが求められる。
 
 政府がきのう閣議決定した活動火山対策特別措置法(活火山法)改正案は、常時観測対象となっている47火山と追加予定の3火山で、地元自治体のほか、ホテルやロープウエー事業者にも避難誘導計画の作成や避難訓練を義務付ける内容だ。
 
 安全対策を充実させるには国と自治体、民間が一体となった取り組みが欠かせない。迅速に進むよう、国は技術や財政面で支援を強めてもらいたい。
 
 火山観測体制の強化も急がれる。研究機関同士の連携を図り、専門家を育成するのも国の重要な役目である。