核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分に関する新たな基本方針が閣議決定された。

 これまでの自治体の応募に頼った方式を改め、政府が付近に火山や活断層がないことなど、処分地に適した「科学的有望地」を示した上で、複数の自治体に調査を申し入れるようにする。

 国内には原発の使用済み核燃料が約1万7千トンも貯蔵されており、最終処分を先送りすることはできない。国が前面に立って問題解決に取り組むのは当然だ。

 だが、方針を転換しても、最終処分地の選定が困難であることには変わりはない。すぐに進展が望めないのは、明白である。

 高レベル放射性廃棄物は、数万年以上も生活環境から隔離しなければならない。政府はガラスと混ぜて固めた上に、地下300メートルより深い地層の岩盤に埋める方針を立てている。

 しかし、世界有数の地震大国の日本で本当に長期間、安全を保てるのだろうか。疑問視する声は根強い。

 新方式では、将来の政策変更や技術進歩に応じて処分方法を見直せるようにした。政府はこれにより自治体が受け入れやすくなると考えているようだが、楽観的と言わざるを得ない。

 世界でも現在、最終処分地が決まったのは北欧のフィンランドとスウェーデンだけだ。米国やドイツでは、計画が中止されるなど処分地選びは難航している。まして東京電力福島第1原発の事故を経験した日本では、国民の視線はより厳しいものがある。

 2007年には高知県東洋町が文献調査に応募した例がある。結果的に住民の反対で頓挫したが、町は賛成と反対に二分され、対立を深めた。新方式で国から白羽の矢を立てられた自治体は、東洋町と同様に混乱するのは必至だ。

 最初の文献調査に応じた自治体には年10億円(最大20億円)の交付金が支払われる。原発などの施設建設をめぐっては、多額の財政支援と引き換えに受け入れを迫ることが繰り返されてきた。そして、対象はいつも財政力が弱い、過疎地域だった。

 人口減少が深刻さを増す中、財政難の過疎自治体も増えている。新方式でも、足元を見るような手法を繰り返せば、ますます原発への不信感が増大するだけだ。

 「有望地」を提示する新方式は、国の一方的な押し付けになりかねない。そんな懸念が拭えない。

 自治体に拒否権があるのは当然だ。合意形成のルールを明確にしておく必要がある。

 福島の原発事故により、政府や電力会社への信頼は崩れたままだ。いくら説得しても容易に不信感は拭えまい。

 最終処分は、調査から建設、操業、閉鎖まで100年以上に及ぶ事業とされる。最終処分の在り方について十分説明を尽くしてもらいたい。見切り発車は許されない。