選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公選法改正案がきょう、衆院の特別委員会で可決される見通しだ。
 
 近く衆院を通過し、参院審議が順調に進めば、今月中旬にも成立する運びである。
 
 少子化の影響で社会保障制度の維持が難しくなり、支える側の若者にかかる負担は一層重くなる。財政状況もますます厳しくなりそうだ。
 
 将来を担い、責任を負う若い人たちが早くから政治に参加し、自らの問題として関心を高める意義は大きい。
 
 海外では多くの国が選挙権を18歳以上としている。引き下げは遅過ぎたくらいだ。
 
 ただ、現状は若い人ほど政治への関心が薄い。昨年の衆院選の投票率は過去最低を記録し、中でも20代は約33%という低さだった。徳島県内はさらに深刻で、20代は約26%と4人に1人しか投票しなかった。
 
 こうしたことから、年齢引き下げを危惧する声も少なくない。このままでは、投票率がさらに下がりかねない。
 
 法案が成立すれば、計約240万人の未成年者が新たに有権者となる。最初に適用される来年夏の参院選に向けて、主権者教育の充実を急がなければならない。
 
 総務省と文部科学省は法改正をにらみ、政治参加の意義や模擬選挙の方法などを解説した高校生向けの副教材を夏に作成し、配布する方針だ。
 
 選挙は民主主義の根幹であり、主権者の責務である。その重要性を学校現場でしっかりと教えてもらいたい。
 
 模擬選挙は単に投票を経験するだけではなく、候補者の主張の善しあしを自分で考え、選ぶ行為を体験するものだ。実際の選挙を題材にするなど、実効が上がるよう方策を練ってほしい。
 
 高校生の政治活動を全面規制した1969年の旧文部省通知を見直す必要もある。文科省は、高校3年生が有権者になる状況に対応した通知を出す方向で検討している。
 
 政治的中立性を確保するには、多様な意見に触れられるようにすることだ。時の政権や特定の団体の意向に左右されない仕組みが要る。学校の力量も試されよう。
 
 主権者教育の成果は短期間では上がらない。大学、高校だけでなく、小中学校でも年代に合った取り組みをすべきだろう。
 
 家庭での教育も大切だ。子どもを投票所に連れて行くなど、政治への意識を高めるのは親の役割でもある。
 
 政治家の姿勢が重要なのは言うまでもない。「政治とカネ」の問題が絶えず、与党が数に物を言わせる議会運営を続けて不信感を助長させるようでは、投票所への足は重くなる。
 
 衆院議員25歳以上、参院議員30歳以上の被選挙権年齢の引き下げも課題である。同世代の候補者が増えれば、若者の関心が高まるとの見方もある。与野党間で検討を進めてもらいたい。