国際サッカー連盟(FIFA)の幹部をめぐる汚職事件は、5選を果たしたばかりのブラッター会長の辞任表明に発展した。

 サッカーの総本山の信頼は大きく揺らいでおり、会長自身の疑惑の有無も焦点になっている。辞任表明は当然だ。

 汚職事件は世界中のサッカーファンの信頼を裏切る行為であり、言語道断である。捜査当局は徹底してメスを入れ、うみを出し切ってもらいたい。

 世界のサッカー関係者の間に激震が走ったのは、先月末だった。会長を選ぶ総会の直前、米司法省が組織的な違法行為と贈収賄の罪で、現職の副会長らFIFAの関係者9人を含む計14人を起訴したと発表した。

 FIFAの幹部らには1991年から24年間で、賄賂などとして1億5千万ドル(約185億円)以上が渡ったとされる。金額の大きさは、FIFA役員と関係者の癒着ぶりを物語っているようだ。

 FIFAの金権体質には、以前から批判があった。

 テレビ放映権やスポンサー協賛金など巨大マネーが動くワールドスポーツのサッカーは、世界中の企業にとって大きな魅力だ。それだけに、組織運営に当たるFIFAの役員は厳しく身を律しなければならない。

 ブラッター氏自身は、会見で事件の関与を問いただす数々の質問に「絶対にない」と全面否定していた。

 突然の辞任表明について、会長は「(選挙で投票した)FIFA加盟協会の信任はあるが、サッカー界全体の支持を得られていないと感じている」と説明した。

 問題は、次期会長選出を待って辞任するという意向だ。

 会長選は12月から来年3月の間に行われる見通しで、ブラッター氏は退任まで組織の抜本的な改革に全力を挙げる考えを示した。「徹底的な見直しが必要だ」と言うが、果たして加盟協会の理解を得られるだろうか。

 複数の米メディアは米司法当局が、ブラッター氏を捜査対象に含めていると伝えた。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、当局者は「ブラッター氏の立件に向け、起訴したFIFA幹部らの協力を得たい」と語ったという。

 そんな状況では、改革などおぼつくまい。直ちに辞任して、職務代行者らに改革を委ねるべきではないか。

 FIFAでは2010年、ワールドカップ(W杯)開催地選びをめぐる理事の買収疑惑が浮上。ブラッター氏は不正防止のために、11年からさまざまな改革を行ってきた。

 開催地の決定方法を、FIFA理事の投票から、全加盟協会による投票に変更したのは改革の第一歩だといえる。だが、役員報酬の公開が見送られるなど、まだまだ不十分だ。さらに、自浄機能を発揮しなければならない。

 新たに理事に就任した田嶋幸三日本サッカー協会副会長の改革手腕にも期待したい。