民間シンクタンク・徳島経済研究所が、徳島の観光活性化に向けた構想を発表した。

 人口減少に歯止めがかからない中、観光振興による交流人口の増加は地方創生の鍵を握る。構想を「観光に弱い徳島」から脱却する第一歩にしたい。

 経済研は昨年5月、官民一体で観光ビジネスの在り方を考える研究会を設け、1年間かけて滞在型の観光客を増やすための仕組みづくりや商品開発を検討してきた。

 構想は、魅力ある地域資源を洗い出して磨き上げ、体験プログラムなども盛り込んだ「着地型旅行商品」として売り込むことを提案した。ほかにも阿波踊りの開催時期を拡大したり、アニメやLEDを活用したりと、内容は多岐にわたっている。

 構想を生かし、徳島観光の活性化につなげたい。

 昨年、県内で滞在した宿泊者数は延べ250万7720人。全国46位となり、5年ぶりに最下位を脱した。

 このうち外国人宿泊者数は前年比10・3%増の3万5630人で、統計のある2007年以降では2番目に多くなった。まだまだ物足りないとはいえ、明るさの兆しは見え始めている。

 外国人旅行客の誘致には政府も力を入れており、東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に2千万人を目標として掲げている。外国人に人気があるのは、東京から富士山や京都、大阪を巡る、いわゆる「ゴールデンルート」だ。その足が少しでも徳島へと向くよう、工夫が必要だ。

 観光に弱い県を象徴するように、県民からはよく「徳島には何もないから」という言葉を聞く。果たしてそうだろうか。

 阿波踊りをはじめ、鳴門の渦潮、祖谷渓などは全国的に有名な観光資源だ。IT企業のサテライトオフィスを誘致した神山町や美波町、葉っぱビジネスの上勝町は過疎対策のモデルとして知られる。恵まれた海・山の幸も都会の人たちにとっては魅力的に映るだろう。

 何もないのではなく、その良さに気付いていないだけといえる。地元の人が自分の町を好きになって積極的に発信しなければ、観光客に魅力は届かない。

 観光は裾野が広い総合産業といわれる。宿泊や飲食だけにとどまらず、あらゆる業界にお金が落ちるためだ。交流人口が増えることで新たな雇用も生まれ、定住人口の増加につながる期待もある。

 ただ、行政や民間がばらばらに取り組んでいては効果は薄い。県と市町村、旅行関係などの民間事業者が一体となり、オール徳島で魅力発信を進めたい。もちろん、県民一人一人のおもてなしの心も欠かせない。
 
 観光振興で出遅れたということは、よく言えば伸びしろが大きいということだ。旅行者のニーズをしっかりつかみ、徳島でなければ味わえない観光を提供したい。