ドイツで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、中国やロシアが進める力による「現状変更の試み」を非難する首脳宣言を採択して閉幕した。

 自らの正当性を主張して一方的に事を進め、既成事実を積み上げる。そんなことが許されれば、世界には戦火と混乱が絶えなくなってしまう。

 海洋進出を図る中国と、ウクライナ南部のクリミア半島を併合したロシアの振る舞いは、目に余るものがある。G7が結束して対処する意思を示した意義は大きい。

 G7の間には、中ロ両国への姿勢に温度差がみられるが、自由や民主主義、法の支配、人権尊重といった価値観を共有する国同士である。世界の平和と安定のために、足並みをそろえて取り組むことが肝心だ。

 中国は、東シナ海の沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を常態化させている。

 さらに南シナ海では、領有権をめぐってフィリピンなどと対立している南沙(英語名スプラトリー)諸島で、着々と岩礁を埋め立てている。

 米国によると、その面積は既に計約8平方キロに上り、2017~18年ごろには滑走路もできるとみられる。

 中国の名指しを避けながらも、首脳宣言が「大規模な埋め立てを含む、いかなる一方的行動にも強く反対する」としたのは当然である。

 中国は自国の「主権内のことだ」と不快感を表明したが、身勝手な論理は到底認められない。

 G7内では厳しい態度の日米に比べて、欧州諸国は中国との経済関係をより重視している。だが、やがては航行の自由が脅かされ、欧州も打撃を受ける懸念は拭えない。

 各国は中国に自制を促すとともに、強引な進出をやめさせる有効な対抗策を練る必要がある。

 ロシアに対しては、名指しで非難し、制裁強化の可能性も指摘した。ウクライナ東部で政府軍と親ロシア派武装組織との戦闘が再燃し、2月の停戦合意が形骸化する恐れがあるためだ。

 ウクライナ危機が長期化すれば、世界の安全保障に深刻な影響を及ぼしかねない。ロシアは親ロ派への支援をやめ、停戦合意を順守するよう影響力を行使すべきである。

 北方領土問題を抱える日本は、ロシアとの対話を重視する姿勢を崩していない。もとより圧力だけでは国際紛争は解決できない。日本の外交力が試されよう。

 年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、気候変動問題も重要な議題となった。

 首脳宣言は、温室効果ガスを50年までに10年比で最大70%削減することを視野に努力する新目標を打ち出した。基準年を明記し、従来以上に踏み込んだのは歓迎できる。

 COP21で新たな枠組みが合意できるよう、各国の積極的な取り組みを求めたい。