徳島県警は、不審者の目撃情報を主に配信してきた「安心メール」の内容を拡充している。

 事故による通行規制、地震や津波といった災害情報を新たに追加したほか、特殊詐欺につながる不審電話の情報発信をさらに強化していく。

 犯罪や事故を抑止するとともに、住民の安全安心を確保するのが大きな狙いであり、積極的に情報を発信する姿勢は評価できる。

 安心メールは、県警が運用を初めて今年で10年になる。受信登録者は年々増え、現在は1万5千人余りに上っている。内容の拡充を機に、登録者をさらに増やし、配信の効果を高めたい考えだ。

 安心メールを始めたきっかけは、子どもの登下校時を狙った凶悪犯罪が全国で相次いだことだった。

 住民が目撃したり、警察官が情報を得たりした不審者情報を保護者らに配信することで、子どもの安全確保に努めてきた。メールの内容は、声掛け、つきまとい、体への接触などが多い。

 配信件数は、2012年までは100~200件の間で推移し、13年と14年は100件を下回った。配信を強化した今年は、5月末時点で100件を超えている。

 ただ、不審者情報などは、緊急性や信ぴょう性を考慮しなければならないため、配信されるのは県警が把握する情報の一部にすぎない。

 また、これまでは各署で得た情報をいったん本部に伝える必要があったことから、タイムリーに発信できないケースもみられた。

 今回の拡充に合わせて、各署長の判断で配信できるように規則を改めた。特殊詐欺や通行規制といった情報も迅速な提供が求められており、妥当な措置だろう。

 超高齢社会を迎え、認知症患者が行方不明となる事例が今後増えそうだ。安心メールで情報提供を呼び掛ければ、無事発見につながる例も増えるのではないか。

 県警は近年、ホームページやツイッター、フェイスブックを活用し、さまざまな情報発信に取り組んでいる。

 県民ニーズの多様化やプライバシーなどに配慮しながら、役立つ情報はできるだけ提供してもらいたい。

 そこで求められるのは、現場で活動する警察官らが、情報提供の重要性を十分認識することだ。意識の徹底を図っていく必要がある。

 留意しなければならない点もある。何でも不審者情報として配信するのは避けたい。住民が不審者と勘違いされるのを恐れて、必要以上に人との接触を控えたり、見て見ぬふりをしたりといった弊害が出かねない。

 地域の絆が失われ、ぎすぎすした社会になってしまうようでは逆効果だ。

 住民も、警察や学校などと連携を密にして、日頃から活発に情報交換を行うことで、安心して暮らせる社会を目指したい。