徳島県議会6月定例会の代表・一般質問が始まった。

 「地方創生」に向けた動きが全国で活発になっている中、4期目のスタートを切った飯泉嘉門知事はどのような戦略で臨むのか。それが論戦の主要テーマとなったのは当然だろう。

 県は、人口減少対策の5カ年計画「県版総合戦略」案と「人口ビジョン」案、今後4年間の県政運営指針「新行動計画」案を打ち出している。

 代表質問では、総合戦略を推進するための具体策が問われた。

 これに対して知事は、東京圏から各世代にわたって移住を図ることや、ロボットの普及・開発などで5年間で4千人の雇用を創出する目標などを説明。少子化問題では、切れ目のない次世代育成対策で結婚・出産・子育て環境をつくるとした。

 しかし、どのように移住を進め、雇用を生み出すのかなど、詳しい方策は示さなかった。突っ込んだ質問も少なく、議論が深まらなかったのは残念である。

 注目されるのは、民間団体「日本創成会議」が提言した高齢者の地方移住について、知事が積極姿勢を見せていることだ。

 提言は、東京圏の75歳以上の高齢者が今後10年間で急増し、介護施設などが不足するため、人材に余裕があり、サービス費用も安い地方への移住を推進するとしている。

 本県は徳島市など12市町村の東部医療圏が、余裕があるとされる26道府県の41地域に含まれた。

 知事は創成会議より先に、大都市圏に住む徳島ゆかりの高齢者が元気なうちに移り住む「移住促進」政策を、政府に提言している。人口減少の克服と地域経済の活性化、若い介護従事者の県外流出を防ぐ狙いで、趣旨は創成会議と同じと言えよう。

 ただ、高齢者の地方移住には「介護の負担が地方に転嫁される」との懸念の声が、他県の知事や自治体、介護事業者などから出ている。

 飯泉知事も代表質問の答弁で「懸念を払拭し、快く受け入れられる環境の整備が必要不可欠」との認識を示した。その上で、介護費用を移住前の市区町村が負担する「住所地特例」の拡大などを政府に求めていると強調した。

 本県を含め、介護施設や人材に比較的余裕があるとされる地方でも、介護や医療現場の人材不足は進みつつある。高齢者の移住を促進するには、そうした課題を解決する必要がある。

 市町村の「徳島版地方創生特区」を、1年前倒しで本年度中に選定する意向を知事が表明したのは歓迎できる。県条例での規制緩和や県税減免などの優遇措置を行うもので、市町村の創意工夫を引き出すことになろう。

 このほか、農林水産物のブランド化や観光の振興など、地方創生のテーマは幅広い。一般質問や委員会審議でさらに議論を重ねてもらいたい。